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インタビュー

D12(2)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年05月20日 16:00

更新: 2004年06月24日 11:38

ソース: 『bounce』 253号(2004/4/25)

文/高橋 芳朗

よりクルーらしさを増した作品

 今回の『D12 World』には、数多くのツアーとレコーディングを重ねることによって人間としても表現者としても確実に成長した6人の姿が克明に焼き付けられ、それに伴ってグループとしての結束力もさらに高まったようだ。

「『Devil's Night』ではエミネムがビートを選んでいたし、あの頃は俺たちも若かったからな。でも『D12 World』では俺たちがもっと主導権を握った。それに、もっとシリアスで大人になったね。声もディープになったし。この2年間でいろんな経験をしたから語りたいことがたくさんあるんだ」(ビザール)。

「『D12 World』でいちばん進歩したことといえば、音楽をより自分たちの思うとおりにできるようになったことだな。お互いの絆も信頼も深くなったし、文句を言うならやってみせろってアティテュードなのさ」(スウィフト)。

 ヒット中のリード・シングル“My Band”は、D12の成長と余裕、強固な信頼関係を前面に打ち出した楽曲として、『D12 World』を象徴する存在となるだろう。そこでは、D12をエミネムのワンマン・グループと見なす意地の悪いメディアに先手を打つかのように、〈このバンドは俺様が主役!〉とわめき散らすエミネムに対して残りの5人が愚痴をこぼしていくという実にユーモラスな構成がとられている。それは自虐的で屈折した表現方法ではあるけれど、グループのタイトな関係性なくしてこんなテーマの楽曲を作ることは考えられない。また、エミネムの“Without Me”を彷彿とさせるキャッチーでメロディアスなフックにしても、前作の『Devil's Night』では見られなかった傾向だ。

「あれが多くの人間のD12像だと思うんだよね。エミネムが物凄い自己中心的なエゴイストで、残りのメンバーのことなんか屁とも思ってないみたいなイメージ(笑)。仲間内でそういう冗談を交わしていたところからエスカレートしたアイデアなんだ。まあ、巷の噂や邪推に対する挑戦でもあるかもしれないな」(コン・アーティス)。

 さらに、エミネムとコン・アーティス、ドクター・ドレーという身内のコンポーザーで統一されていた『Devil's Night』に対し、『D12 World』では『The College Dropout』が大ヒット中のカニエ・ウェストや、J・クウォン“Tipsy”で一気に認知度を高めたトラックボーイズなど外部プロデューサーの積極的な導入が図られ、それは各メンバーにさまざまなスタイルを試してみるだけのゆとりが出てきたことの表れでもあるのだろう。

「それも俺たちの成長の一部っていうことになるんだろうな。これまでのパターンにひねりを加えるっていう意味でね。俺にしてもエミネムにしても、D12だけじゃなくて外部のプロデュース仕事を請け負うようになってきたし、それと同じで俺たちも外部のプロデュース仕事を受け入れるようにしたのさ」(コン・アーティス)。

「『D12 World』では多様性を見せたかったんだ。だから、俺たちを違うアングルで見てもらえるような、そんなチャンスを与えてくれる外部のドープなプロデューサーにも入ってもらった。いろんなプロデューサーとやっても俺たちがドープだってことがわかってもらえるはずさ」(スウィフト)。

 こうしたグループの充実ぶりを伝える数々の要素を踏まえてみると、D12の本領が発揮されるのは、まさに今回の『D12 World』からになるのだろう。そして、これだけの傑作を作り上げたことはエミネムの次作にもきっと何らかの影響を及ぼすに違いないし、新しいステージに向かうにあたって苦楽を共にした仲間たちの成長と結束を確認できたことは、彼にとって他の何物にも代え難い貴重な経験になったんじゃないかと思う。

「レコーディングの過程すべてが学習だったよ。なぜなら、毎日トラックメイキングについて新しいことを学んでたからね。毎日俺も良くなっていったし、トラックが良くなればなるほどラップも良くなっていく……逆も同様だね。俺たちはただやり続けたのさ。でも、まさかこんなクレイジーなアルバムになるなんて、きっと誰も期待してなかったんじゃないかな」(エミネム)。

▼『D12 World』に参加したアーティストの作品。

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