〈タワレコマケプレ〉音の探究者・細野晴臣と巡る、音楽の「はらいそ」

細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂という、後に日本の音楽シーンを牽引することになる4人が一堂に会したバンド「はっぴいえんど」の記念すべきデビュー作。このアルバムで、彼らはアメリカ西海岸のフォークロックに影響されたサウンドを土台に「日本語でロックを歌う」ということを試み、邦楽史における新境地を開拓した。後の作品と比べ、サイケデリックな一面や結成当初ならではの荒々しい演奏が聴けるのも本作の魅力。

失われゆく東京の原風景としての“風街”を描く松本隆の詩世界をロックの旋律に見事に乗せ、前作で試みた「日本語でロックを歌う」ことを完璧に結実させた2ndアルバム。細野晴臣がボーカルを務める彼らの代表曲「風をあつめて」や、鈴木茂が初めて作曲した楽曲「花いちもんめ」などを収録。後の日本のロック/ポップスシーンに多大な影響を与えた、邦楽史に残る名盤。

3枚目にして彼らのラストアルバムとなった本作は、解散がすでに決まっていた中、大瀧詠一などの意向のもとアメリカでの録音を遂行。メンバー間の音楽的な方向性の違いもあり、それぞれのソロ作品を集めたオムニバス・アルバムのような内容となっている。その分各々の個性が光る楽曲を収録した、偉大なる4人の歴史を辿るうえで避けては通れない一枚。

メンバー自身が監修した8枚組コンプリート・ボックス。3枚のオリジナルアルバムや既発ライブなどのすべてのオフィシャル音源と、貴重な未発表テイクも収録。さらに新規に発掘された『全日本フォーク・ジャンボリー』でのライブ音源や、遠藤賢司をはじめメンバーがバッキングに参加したアーティストの楽曲までも網羅した、ファン垂涎の内容。

埼玉県狭山市の自宅でレコーディングされた細野晴臣の記念すべき1stソロアルバム。「僕は一寸」や「恋は桃色」などアメリカのルーツミュージックに根差しつつも宅録ならではの独特な質感と相まった、泥臭くも洗練された楽曲を収録。ホームレコーディングの金字塔として現代のアーティストにも影響を与え続けている、デビュー作にしてキャリアを代表する一枚。

「トロピカル三部作」の幕開けを告げる、1975年リリースの2ndアルバム。今作から作風を一転させ、エキゾチカ、ニューオーリンズ・ファンク、沖縄民謡、カリプソなどが混在したトロピカル路線へと舵を切り、キャリアの転換点となった。「キャラメル・ママ」から発展した「ティン・パン・アレー」のタイトでグルーヴィーな演奏と共に、リスナーを架空の異国へと誘う一枚。

蒸気船による船旅や猥雑なチャイナタウンの雑踏をテーマに、前作のトロピカル路線をさらに推し進めた3rdアルバム。細野晴臣自ら「チャンキー・サウンド」と称する本作は、「トロピカル三部作」の中でも特に沖縄民謡とニューオーリンズ・ファンクの要素が色濃く反映されている。コーラスとして大瀧詠一や山下達郎などが参加しているのも聴きどころのひとつ。

前述した『トロピカル・ダンディー』『泰安洋行』に続く「トロピカル三部作」の完結編となる4thアルバム。名義に「イエロー・マジック・バンド」とある通り、坂本龍一・高橋幸宏が本格的に参加し、後のYMO結成に繋がった作品。それまで追求してきたトロピカルなエキゾチシズムはそのままに、シンセサイザーなどの電子音を導入して新たなサウンドを確立。細野晴臣が提唱してきたチャンキー・ミュージックの終着点であり、まさに楽園のような一枚。

高橋幸宏と共同で立ち上げたYENレーベルからの第一弾リリースとなった、通算6作目のアルバム。「フィルハーモニー（交響楽団）」という壮大なタイトルとは裏腹に、後のアンビエント路線の雰囲気すら漂った電子音楽集となっている。アルバム8曲目収録の「スポーツマン」は、今や世界中で人気を誇るキャリア中期を代表する一曲。

1982年から1984年までNHKで放映された「人形劇 三国志」のテーマ曲である7inchシングル。YMO活動真っ最中に制作されたこの楽曲は、シンセサイザーによるキャッチーなメロディーが印象的なテクノ・ポップ・インストに仕上がっている。B面には小池玉緒のヴォーカルをフィーチャーした三国志ラヴ・テーマ（ヴォーカル・ヴァージョン）を収録。

デビュー50周年を迎えた2019年に、アメリカのニューヨークとロサンゼルスで開催された初のソロライブを収めた映像作品。異国の地で軽やかに奏でられた名曲の数々を、彼のインタビューと共に記録したライブドキュメンタリー。

「テクノポップ」というジャンルを日本に確立させたYMOが1978年にリリースした1stアルバム。細野晴臣がソロ活動で追求してきたエキゾチシズムを、当時最先端だったシンセサイザーとコンピューターを全面に取り入れて表現し、国内にとどまらず海外でも高い評価を得るきっかけとなった作品。こちらはミックスが異なるUS仕様と日本仕様をセットにした2枚組となっている。

人気絶頂期にあった彼らが、それまでのポップ要素をあえて排除し、より実験的なサウンドを突き詰めた5thアルバム。当時、世界的にもまだ珍しかったプログラミングによるリズム構築などを駆使して創り上げたのは、ダークでミニマルなテクノ・サウンド。メンバーそれぞれが当時本当にやりたかった「売れ線とは言えない楽曲」で構成された野心作。

約1年間の休業期間を経てリリースされた7thアルバム。前述した『BGM』以降のシリアスな路線から一転し、化粧品のCMソングにも起用された「君に、胸キュン。」などを収録した歌モノ全開のポップ・アルバムとして世間を驚かせた。こちらはインストゥルメンタル盤も収録した2枚組のSACD仕様となっている。

1979年の海外ツアーを収めたボックス『YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR』から、各CDを単品発売するシリーズ第1弾。本作には、1979年8月2~4日の3日間行われたチューブスのロサンゼルス公演へのスペシャルゲスト出演のうち、最終日に演奏された全7曲を収録。音源は細野晴臣監修のもと、GOH HOTODAがマルチトラックマスターからミックスとマスタリングを施している。