映画『ナイトフラワー』公開前に読むべき!内田英治が描く“母性”と“葛藤

2025年11月28日に公開予定の映画『ナイトフラワー』。主演の北川景子が子どもを守るため犯罪に手を染める母親役を演じ、俳優として新たなフェーズに入ったと噂の注目作だ。森田望智演じる格闘家との“シスターフッド”を描きつつ、2人が夜の街を疾走するヒューマンサスペンスに仕上がっている。そこで今回は、監督としてだけでなく、今作の原案・脚本も手がけた内田英治の多彩なフィルモグラフィについて振り返っていこう。
●原案・脚本・小説執筆までこなす映画監督
1971年生まれの内田はブラジル・リオデジャネイロの出身だ。異色の経歴の持ち主で、雑誌「週刊プレイボーイ」の記者を経て脚本家デビューを果たしている。伊藤沙莉を主演に迎えた2017年公開の映画『獣道』は、多くの海外映画祭で高い評価を受け注目を集めた。
山田孝之主演で話題を呼んだ2019年のNetflix配信ドラマ『全裸監督』では、内田は監督・脚本を担当したクリエイターのひとりとして名を連ねている。他にもヒューマンドラマ『異動辞令は音楽隊!』、山田涼介・浜辺美波共演の『サイレントラブ』、サスペンス・スリラー『マッチング』など、幅広い作品でヒットを連発中だ。
また、2020年公開・草彅剛主演の『ミッドナイトスワン』ではロングヒットを記録。第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀主演男優賞、ほか9部門での受賞という栄誉に輝いた。イタリア・ウディネ映画祭のコンペティション部門においてもゴールデン・マルベリー賞を受賞している。
そんな内田の代表作ともいえる『ミッドナイトスワン』は、監督自らの手による小説版が発売されている。トランスジェンダーである主人公・凪沙が、母親から愛情を注がれずに育った少女・一果と出会い、自らの“性”に葛藤しながらも“母性”を自覚する様子を描いてベストセラーとなった。
なお、内田が『ミッドナイトスワン』の脚本を執筆中、夜の犯罪社会で生きる“母”についてのストーリーを思い浮かべたことが『ナイトフラワー』に繋がっているのだという。同映画の公開を控えた今、『ミッドナイトスワン』小説版の一読をおすすめしたい。内田の作風や内面に迫りうる読書体験となるだろう。
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掲載: 2025年10月25日 21:00

