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1万人中生き残ったのは34人だけ…新時代の戦争漫画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』がアニメ映画化

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1万人中最後まで生き残ったのは34人だけ……観る者に重いインパクトを与えるであろうこの一文は、驚くことに史実に基づく。 絶望的な戦火の中で生きる人々と、その中で生まれる友情を描いた「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」が、12月5日にアニメーション映画として公開される。

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●美しい島で起こった凄惨な戦闘は何を残したのか……

物語の舞台は、太平洋戦争末期のパラオ諸島の小島・ペリリュー島。現在ではダイビングスポットとしても人気のサンゴ礁の美しい島だが、かつてこの島では米国軍と日本軍の激しい戦闘が繰り広げられていた。

武田一義原作の「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」では、米軍の精鋭4万人に対し、玉砕すら禁じられ徹底した持久戦を強いられる日本軍1万人の壮絶な戦いが描かれている。主人公は漫画家志望の兵士・田丸。才能をかわれ、戦死した仲間の最期の勇姿を遺族向けに記録する功績係として従軍する。彼の目線で見る戦争の恐怖と狂気、人間の複雑な心情。凄惨な戦争の現実と人間模様の描写が非常にリアルで、可愛らしい絵柄とのギャップも加わり強烈な印象を残す。

第46回「日本漫画家協会賞優秀賞」を受賞し、新時代の戦争漫画の金字塔とも名高い「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」の原作は11巻で完結。また、全4巻刊行されているスピンオフ作品「ペリリュー外伝」には、本編では描ききれなかった物語が収録されている。

12月公開の映画のキャストに名を連ねるのは、 田丸役の板垣李光人や、同期の上等兵・吉敷役の中村倫也。原作者である武田も監修と共同脚本として映画製作に携わり、「様々なことに思いを巡らせた映画版『ペリリュー』の脚本は、原作ファンの皆様にも自信を持ってお届けできるものになりました」とコメントを寄せた。

先述したように、同作で描く戦闘は史実に基づいたものだ。島には深い傷跡が残り、現在でも1000人以上の遺骨が採島に眠っていると言われている。

誰もが、生きていたい、大切な人に生きていてほしいと願う。そんな細やかな願いすらも禁じられていた時代は、今からたった80年前にたしかに存在した。戦後80年の節目である今年の締めくくりに、映画版『ペリリュー』は人々に何を刻むのか。ぜひとも注目していきたい。

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タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年10月17日 21:44