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【追悼】クリストフ・フォン・ドホナーニ 指揮者 95歳

ガブリエル・フェルツ

現代を代表する指揮者の一人、クリストフ・フォン・ドホナーニ氏が2025年9月6日(土)、ミュンヘンで逝去されました。知的で構築的な音楽作りで知られ、世界の主要なオーケストラやオペラハウスで長年にわたり活躍した巨匠の死は、クラシック音楽界に大きな悲しみをもたらしています。

音楽一家に生まれて
ドホナーニ氏は1929年、ドイツのベルリンで著名な法律家の家庭に生まれました。祖父はハンガリーの作曲家兼ピアニストであったエルンスト・フォン・ドホナーニであり、幼い頃から音楽的な環境で育ちました。ミュンヘン音楽大学で学んだ後、アメリカに渡り、祖父のもとでさらに研鑽を積みました。

輝かしいキャリア
1957年にリューベック歌劇場の音楽総監督に就任したのを皮切りに、カッセル州立劇場、フランクフルト歌劇場、ハンブルク州立歌劇場で要職を歴任し、特にオペラ指揮者として高い評価を確立しました。
ドホナーニ氏の名を世界的に不動のものとしたのは、1984年から2002年まで音楽監督を務めたクリーヴランド管弦楽団との活動です。ジョージ・セルが築き、ロリン・マゼールに受け継がれた精緻なアンサンブルを継承しつつ、透明感と現代的な感覚に溢れたサウンドを磨き上げ、同楽団の黄金時代を築きました。
その後も、イギリスのフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者、北ドイツ放送交響楽団(現・NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)の首席指揮者などを歴任。晩年まで客演指揮者として世界中のオーケストラに登場し、多くの聴衆に感銘を与え続けました。

楽譜への深い敬意
ドホナーニ氏の指揮は、楽譜に書かれた情報を深く読み解き、主観的な感情表現を排して作品そのものの構造を明らかにする、客観的で知的なアプローチで知られていました。その音楽は、透明な響きと引き締まった造形美を持ち、聴き手に作品の真髄をストレートに伝えました。
クラシック音楽の伝統を重んじながらも、常に現代的な視点を失わなかったドホナーニ氏。その偉大な功績と音楽への真摯な姿勢は、これからも多くの音楽家や聴衆の心の中に生き続けることでしょう。心よりご冥福をお祈りいたします。
(タワーレコード)

ドホナーニの代表的なCD

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アメリカ・ブルックナー協会の放送音源(エアチェック)からCD化


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国内盤で現在入手可能なもの




カテゴリ : ニュース

掲載: 2025年09月10日 15:00

更新: 2025年10月14日 17:00