クリスティアン・テツラフ、ストルゴーズ&BBCフィル 『エルガー、アデス:ヴァイオリン協奏曲』 2025年9月18日発売

テツラフには珍しい英国レパートリー。会心のエルガー、何かを物語るようなアデス
CD
※国内仕様盤には原盤解説の日本語訳が付属します
■作品詳細
いつものようにブックレットに掲載されたテツラフのインタビュー(英語7ページ、ドイツ語8ページ)によれば、テツラフがエルガーを初めて演奏したのは6年前のこと。以来すっかり魅了され、演奏・録音することに使命さえ感じてきたとのことです。
その理由は、一つにはドイツ語圏でこの曲があまり演奏されずに作品の価値に気付くのが遅れたこと。もう一つは昨今の演奏が遅めのテンポによっており、それではこの曲本来の魅力が伝わらないと考えるため。テツラフはこの曲の初録音となったアルバート・サモンズの演奏、そのサモンズと交流のあったハイフェッツの演奏を参照し、どちらも42,3分で全曲を演奏しており、50分前後というこんにちの演奏よりもだいぶ速いテンポが妥当であると結論付けています(テツラフの演奏時間は約43分)。
もちろん大事なのが所要時間そのものではないことは言うまでもなく、テツラフの演奏は近年の彼の特徴である細部を徹底的に掘ることでニュアンスをめいっぱい引き出すスタイルを堅持。それでいて流れが停滞したり、耽溺したりすることなく、気品をもってこの長大な曲を弾き切っています。
テツラフが同曲を初めて演奏して「目覚めた」時の共演者であるストルゴーズとBBCフィルをバックに迎えた当録音は、当人にとって会心の出来栄えだったようです。
併録のアデスはエルガー作品から95年を隔てた2005年の作品。すでにハーデリッヒやペッカ・クーシスト(配信のみ)が録音していて、現代作品の中でも人気があります。3つの楽章は輪、道、円と名付けられ、ソロ・ヴァイオリンがストーリーを語るように演奏し、オーケストラが様々なサウンドで呼応します。ソロの見せ場が多い第2楽章「道」が曲の核心とのこと。無重力状態を思わせる浮遊感もあれば、弱音によるセンチメンタルな長いフレーズもあり、テツラフは作曲者のパレットの豊かさを遺憾なく音にして伝えてくれます。
※国内仕様盤には原盤解説の日本語訳が付属します。
(ナクソス・ジャパン)
■収録曲
1-3. エドワード・エルガー(1857-1934):ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 Op.61(1910)
1. I. Allegro
2. II. Andante
3. III. Allegro molto
4-6. トーマス・アデス(1971-):ヴァイオリン協奏曲「同心軌道(Concentric Paths)」(2005)
4. I. Rings
5. II. Paths
6. III. Rounds
【演奏】
クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)
BBCフィルハーモニック
ヨーン・ストルゴーズ(指揮)
【録音】
2024年1月29日…4-6
2024年12月7-8日…1-3
イギリス、ソルフォード、BBCフィルハーモニック・オーケストラ・スタジオ
総収録時間:62分
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カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2025年08月01日 17:00