『M:I』シリーズはエンタメだけど…現実世界で起きていた大国の“スパイ事件”に迫る
1996年に第1作が公開された、トム・クルーズ主演のスパイ映画『ミッション:インポッシブル』。2025年5月公開の第8作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は、わずか公開20日間で累計興収30億円を記録するほどの人気シリーズとなっている。そこで今回は、スパイ映画の醍醐味や、実話を元にした“リアル”なスパイ映画の魅力などに迫っていこう。
●スクリーンに刻まれたスパイ映画の名作たち
『ミッション:インポッシブル』の原作として知られているのが、1960年代に放送されたアメリカのテレビドラマ『スパイ大作戦』だ。同時代には、作家イアン・フレミングにより「007」シリーズも生み出されている。主人公である英国諜報部員ジェームズ・ボンドは、ショーン・コネリーをはじめ数々の名優たちによって演じられてきた。
▶テレビドラマ『スパイ大作戦』シリーズはこちら。
▶ショーン・コネリー主演 映画『007』シリーズはこちら。
スパイ映画は時代を超えた人気ジャンルだが、近年では、2015年に第1作が公開された『キングスマン』も見逃せない。ギミック満載のスパイガジェットが登場し、キレの良いド派手なアクションシーンは観客を釘付けにした。
一方で、実話を基にしたスパイ映画も増えている。たとえば、東西冷戦下の英国諜報部を舞台にした『裏切りのサーカス』は、作家ジョン・ル・カレがMI6在職中に実際に起きた事件が物語のモデルだ。
また『レッド・スパロー』では、元CIA局員だった原作者ジェイソン・マシューズにより、自身の諜報活動の知見をもとにリアルなスパイの世界が描かれた。こうした作品群は、スパイ映画ファンの間で「現実のスパイはどう動いているのか」という関心を高めるきっかけにもなっている。
そんな現実世界のスパイの実情に正面から迫った書籍が、「世界を変えたスパイたち ソ連崩壊とプーチン報復の真相」だ。著者は、長年にわたり国際情勢や情報機関を取材してきたジャーナリスト・春名幹男。映画のような華やかなイメージとは裏腹に、描かれるのは冷徹な駆け引きや、国家間の力関係を揺るがすスパイ活動のリアルだ。
スパイ映画好きであれば、本書に描かれる現実のスパイ事件や暗闘の数々に思わず引き込まれるはず。エンタメ作品を楽しんだ後に本書を手に取れば、改めて“現実は映画以上にドラマティックである”と感じることだろう。
タグ : レビュー・コラム
掲載: 2025年06月26日 09:47