「名作コンシェルジュ」掲載!スヴャトスラフ・リヒテル『ソフィア・リサイタル』~脳天を直撃するような〝展覧会の絵”の凄演!

ウクライナ出身の20世紀の大ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテルが初訪米前、初来日前の〝幻のピアニスト”時代にライヴ録音した『ソフィア・リサイタル』が2025年6月8日(日)日経日曜版の鈴木淳史氏による名物コラム「名作コンシェルジュ」で紹介されました。
初の西側でのリリース 脳天を直撃する壮絶な音(鈴木淳史氏評)
日本版CD
鈴木氏は、旧ソ連の巨匠リヒテル(1915-97)の初訪米が1960年、初来日が1970年と遅れた理由を「父がドイツのスパイの疑いで殺害され、その後母も亡命していたということで、国家から要注意人物として扱われていたのだ」と紹介し、そうした状況の中で「1958年にブルガリアのソフィアで行われたリサイタル」を収めた当録音が発売され「西側の人々に大きな衝撃を与えた」と、この録音の歴史的意義を解説。とくにムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」は「脳天を直撃するような壮絶さ」であり、「急ぐようなテンボで不穏たっぷりに弾かれる5回目のプロムナード以降は、完全に異世界に突入」、「とんでもないスケール感で高場に高揚を繋いでいく」と演奏内容を説明します。巨匠ホロヴィッツにも「自らのアレンジを加えたド派手な演奏」の録音があり、「『俺は凄いぜ』光線がギラついてる」のに比べ、「リヒテルは音楽の筋道の作りのうまさが際立つ」「ロシア・フォルマリズムの異化効果を音楽演奏へ応用したかのよう」と解説。「客席の拍手やノイズも大きく、モノラルの音質も良いとはいえないが、このピアニストの超人さは生々しく伝わってくる」と結論づけています。
(タワーレコード)
【曲目】
ムソルグスキー:
1. 組曲《展覧会の絵》
シューベルト:
2. 楽興の時 第1番 ハ長調 D780の1
3. 即興曲 第2番 変ホ長調 D899の2
4. 即興曲 第4番 変イ長調 D899の4
ショパン:
5. 練習曲 第3番 ホ長調 作品10の3〈別れの曲〉
リスト:
6. 忘れられたワルツ 第1番 嬰ヘ長調 S.215の1
7. 忘れられたワルツ 第2番 変イ長調 S.215の2
8. 超絶技巧練習曲 第5番 変ロ長調 S.139の5《鬼火》
9. 超絶技巧練習曲 第11番 変ニ長調 S.139の11《夕べの調べ》
ラフマニノフ:
10. 前奏曲 第23番 嬰ト短調 作品32の12
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
録音:1958年2月 ソフィア〈ライヴ〉 モノラル録音

巨匠ホロヴィッツによる「自らのアレンジを加えたド派手な演奏」「『俺は凄いぜ』光線がギラついてる演奏」
国内盤CD2枚組
鈴木氏が文中で言及した巨匠ホロヴィッツによる「展覧会の絵」の演奏も、現在CDで聴くことができます。『ヴィルトゥオーゾ・トランスクリプション』と題した2枚組で、ホロヴィッツが自らの超絶技巧を発揮するために、自らアレンジを加えたピアノ曲ばかりを集めたすさまじいセレクションです!「展覧会の絵」は1947年のスタジオ録音と、1951年のライヴ録音が入っており、とくにライヴ録音盤は、ホロヴィッツのあまりの凄さや、ユーモアに対する聴衆の反応も入っている有名な録音です。
(タワーレコード)
【曲目】
[DISC 1]
1. サン=サーンス/リスト(ホロヴィッツ編): 死の舞踏 S. 555
2. メンデルスゾーン/リスト(ホロヴィッツ編): 結婚行進曲と変奏曲 S. 410
3. ムソルグスキー(ホロヴィッツ編):組曲「展覧会の絵」(1947 Recording)
4. リスト(ホロヴィッツ編):ハンガリー狂詩曲第6番変ニ長調 S. 244
5. ムソルグスキー(ホロヴィッツ編):水辺にて
6. リスト(ホロヴィッツ編):伝説 第2曲 波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ
7. リスト(ホロヴィッツ編):ハンガリー狂詩曲第15番イ短調 「ラコッツィ行進曲」
8. ジョン・フィリップ・スーザ(ホロヴィッツ編):星条旗よ永遠なれ
9. バラキレフ(ホロヴィッツ編):東洋的幻想曲「イスラメイ」
[DISC 2]
1. ムソルグスキー(ホロヴィッツ編):組曲「展覧会の絵」 (1951 Live Recording)
2. リスト(ホロヴィッツ編):ハンガリー狂詩曲第2番嬰ハ短調 S. 244-2
3.モシュコフスキ(ホロヴィッツ編):花火 作品36-6
4. ホロヴィッツ:カルメン・ファンタジー
5. リスト(ホロヴィッツ編):ハンガリー狂詩曲第19番ニ短調 S. 244-19
6. ホロヴィッツ:ビゼーのカルメンの主題による変奏曲
7. スミス:アメリカ合衆国国歌(星条旗)
8. リスト(ホロヴィッツ編): メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」S. 514
9. イギリス国歌(ゴット・セイヴ・ザ・クイーン)
10. モシュコフスキ(ホロヴィッツ編):練習曲ヘ長調 作品72-6
【演奏】
ウラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ)
【録音】
1942年~1985年
モノラル録音(DISC1, DISC2 1-4)/ステレオ録音 (DISC2 5-10)
カテゴリ : ニュース
掲載: 2025年06月09日 15:00