室内楽の世界に新風を吹き込むエーネス・クヮルテットが“死と乙女”を録音
「地球上に存在する完璧なヴァイオリニストの1人」(英デイリー・テレグラフ紙)など圧倒的評価を受け続けているカナダのヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニスト、ジェームズ・エーネス。エーネスを始め、2015年には広島交響楽団との共演が絶賛された名ヴィオラ奏者リチャード(・ヨンジェ)・オニールや、バルトークの二重奏曲集(CHAN 10820)でエーネスとの見事なデュオを聴かせてくれたエイミー・シュワルツ・モレッティなどの名手が集い、「ドリーム・チーム」(米Strings誌)と評される弦楽四重奏団、エーネス・クヮルテット。
ジェームズ・エーネス率いる高機能アンサンブルによる本格的クヮルテット・アルバム第1弾は、シューベルトの傑作四重奏曲「死と乙女」と、シベリウスの「親愛なる声」を収録!
(東京エムプラス)
弦楽四重奏団の演奏スタイルは、戦前と戦後で大きく様変わりをしているそうです。第二次世界大戦までは、人気のヴァイオリニストがリーダーとなって弾きまくり、他の3人がそれを無難に伴奏すれば、聴衆は演奏会場に詰めかけて大いに沸いてくれました。しかし、戦後は合奏の精度に対する要求が格段に高くなり、「ちょっとお手合わせ」的な演奏では聴衆は満足してくれなくなったのです。そんな音楽ファンの要望に応えるかのように、クァルテットの演奏レベルは飛躍的に向上し、その緻密なアンサンブルを維持するため必然的に、弦楽四重奏団は専門家のプロ集団になってゆきました。
現代のクァルテットの一年間のレパートリーは、せいぜい20曲前後だそうです。4人の奏者全員が納得するまで音楽を仕上げるには、オーケストラでは思いもよらないほどの時間と、忍耐力が必要とされるためです。スイスの名門カルミナ四重奏団は、日常的なレパートリーとなっているドヴォルザークの“アメリカ”なら、過去に3回もレコーディングしているにも関わらず、バルトークのクァルテットは未だに2曲を録音しただけ。現代の弦楽四重奏とって、「完璧さ」というものが当たり前になっている良い証左と言えるでしょう。
それだけ時間と労力を要するクァルテットの世界に、音楽祭という場での時限的な結成を除けば、人気のソリストが足を踏み入れることは、あまり例がなかったのですが、最近は少しその風潮が変わってきた様子なのです。アリーナ・イブラギモヴァが率いるキアロスクーロ・クァルテットと、2014年に結成されたばかりのこのエーネス・クァルテットがその代表例。特に世界を舞台に活躍している名人たちを集めたエーネスQは、今後のクァルテットのあり方を占う存在として、その活動から目が離せません。
(タワーレコード)
【収録曲目】
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810“死と乙女”
シベリウス:弦楽四重奏曲ニ短調 Op.56“親愛なる声”
【演奏】
エーネス・クヮルテット
ジェームズ・エーネス(第1ヴァイオリン)
エイミー・シュワルツ・モレッティ(第2ヴァイオリン)
リチャード・オニール(ヴィオラ)
ロバート・デマイン(チェロ)〕
【録音】
未詳
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年08月28日 23:09