涙なしでは観られない!ネルソンス、ファウストが捧げる感動のアバド追悼演奏会

2014年1月20日に亡くなった指揮者クラウディオ・アバド。享年80歳。日本には2013年秋に7年ぶりの来日を果たす予定でしたが、健康上の理由でコンサートは取り止めとなった直後の出来事でした。
この映像は、2014年4月に行われたアバドの追悼演奏会の模様が収められています。プログラムは、アバドの音楽へ敬意を表した内容です。本ディスクの冒頭には、最後のルツェルン音楽祭となり、その2013年オープニングコンサートで演奏したベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」第2楽章「葬送行進曲」が収録されています。この演奏を聴く限り、半年後にこの世を去ってしまうとは信じられません。このコンサートの模様はACCENTUS MUSICから既に発売されています(ACC10282BD/ACC20282DVD)。
そして追悼演奏会は、シューベルトの未完成第1楽章から始まります。この演奏は、指揮者なしオーケストラのみで演奏されました。アバドの姿のない指揮台が映し出され、アバドの存在の大きさを痛感せずにはいられません。続くは、スイス出身の名俳優で、アバドと親交があったブルーノ・ガンツによるヘルダーリンの「パンと葡萄酒」の朗読。アバドの芸術的友好関係の広さを物語っています。
この映像の見所の一つ、イザベル・ファウストによるベルクのヴァイオリン協奏曲。ファウストは2010年にアバドとこの作品を録音しており(HMC.902105)、この演奏が高く評価され今や現代を代表するヴァイオリニストとして世界中で活躍しています。ファウストの演奏も、アバドとの共演を反芻するように、聴くものの心に訴えかける音楽を作り上げています。そして最後マーラー交響曲第3番第6楽章。ネルソンスを含む舞台上の人々が悲しみに暮れ、そしてアバドへ寄せる想いが溢れ出た演奏です。アバドの音楽的精神を未来へ引き継ごうとする使命を背負ったことを確認するように、団員同士が抱き合う姿は、感動を禁じえません。
ジャケット写真に使われていのは、ベルリン在住の写真家アドリアン・ザウアーによる2014年1月20日という作品です。
(キングインターナショナル)
~クラウディオ・アバド・メモリアル・コンサート~
【収録内容】
・ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(抜粋)第2楽章:葬送行進曲
(2013年8月収録 クラウディオ・アバド(指揮)&ルツェルン祝祭管弦楽団)
・シューベルト:交響曲第7(8)番ロ短調「未完成」~第1楽章
・フリードリヒ・ヘルダーリン:パンと葡萄酒
(語り:ブルーノ・ガンツ)
・ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
・2014年1月27日スカラ座とミラノでの追悼式
(友人らの追悼コメント含む)
・マーラー:交響曲第3番ニ短調~第6楽章
【演奏】
アンドリス・ネルソンス(指揮)
ルツェルン祝祭管弦楽団
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン / ベルク)
収録:2014 年4 月6 日ルツェルン・クンストハウス・コンサートホール
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2014年10月30日 11:37