ヴィンテージ再生装置の専門家、喜代門守氏によるフルトヴェングラー初期LP復刻!
フルトヴェングラーの名録音シューマン4番、最初期オリジナル盤からの復刻!
シューマン:交響曲第4番ニ短調Op.120
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1953年5月14日
制作ノート 金子学(ベーレンプラッテ)
この名演が録音されたベルリンのイエス・キリスト教会ベルリンの市内交通の中心、ZOO(動物園)駅から地下鉄で15分ほどのTHIELPATZ 駅を降りて徒歩で5分ほどのところにある小さな教会がそれである。1944年の空襲で、旧フィルハーモニーが跡形もなく破壊されてしまったベルリン市内では、ベルリンフィルのコンサートはもっぱらティタニア・パラスト(映画館)で行われていた。しかしながら、音響は映画館のそれであるので、録音には全く不向きであった。そこで、カイルホルツをはじめとする録音スタッフは、このダーレム地区にある近代的な教会に白羽の矢を立てた。事実、この教会でのオーケストラ録音を聴くと、癖がなく重厚なサウンドの中から音楽のディテールがよくわかる素晴らしい音響にいつも引き込まれてしまう。「新フィルハーモニー」が竣工してから10 年以上経っても、ここをメインの録音会場にしていたことや、放送やCD録音用スタジオとしてもここが使われていることからもここのアコースティックがいかに優秀かうかがい知れる。さて、今回復刻に使用したレコードは、10インチの「LP33」とレーベル面に印刷されている初期レコードである(この頃は、SPレコードと同時発売されたため、再生時注意を促す意味でLP33の文字が金色で印刷されている)。今回私たちが復刻したCD から、フルトヴェングラー晩年の解釈、そして、廃墟から録音会場を見つけ出してまで彼の演奏を残そうとした録音スタッフの心意気を感じていただくことができれば、まことに幸いである。
盤おこしに関して 喜代門 守 [きよと まもる](VINTAGE JOIN)
DGGの初期の録音は、厳密には違うのですがFFRR、その後NABが使われているようです。実際にFFRR、NAB での聴き比べをしてFFRR の方が木管が綺麗に出て響きも良く、フォルテッシモ時の音もホールの響きからすると自然なのでこちらを選択しております。カートリッジの調整としては、この盤の音にあったスタイラスを選別しております。ダイヤモンド針、サファイヤ針、そして天然ゴム、合成ゴムダンパーの組み合わせにて10本以上のスタイラスよりセレクトしていきます。今回はダイヤモンド+合成ゴムダンパーの組み合わせとなりました。針圧は3~6gと少しずつ重くしていきながら、フォルテシモの音が潰れないようにあわせて行きます。盤も枚数より聴き比べて、音の輪郭が出ている盤をセレクトして使用しております。イエスキリスト教会の空気感が少しでも感じて貰えれば幸いです。録音は電圧も安定する深夜から朝にかけて行っております。
フルトヴェングラーの名録音を大変貴重なオーストリア盤のオリジナルからマニアのための驚きの復刻!
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」Op.68
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1952年11月24,25日
制作ノート 金子学(ベーレンプラッテ)
私は、このフルトヴェングラーとウィーン・フィルが演奏する「田園」の初期版を以前、ドイツ、フランス、イギリスそしてこのオーストリア盤とで聴き比べたことがあった。私個人の見解であるが、各国盤の音質をひとことであらわすと、ドイツ盤は重厚、イギリス盤は上品、フランス盤は華麗といったところであろうか。さて今回のオーストリア盤であるが、全体の印象は重めのサウンドはドイツ盤に近いが、音の艶っぽさという点ではこの盤がほかの国の盤を圧倒していると思った。しかしながら、かなりのマニアの方でも、このオーストリア盤を実際に聴いたことのある方は少ないのではないか? 幸い私のところには、3枚のストックがあったので、それらを入念に試聴してプレス状態やコンディションがベストの一枚を選び出した。その後、さらに数回の試聴を重ね、イコライザーカーブは、FFRR を採用した。ほかのLP やCD でこの演奏を聴いたことがある方でも、このオーストリア盤を聴くことで、この演奏のもつ別の美しさにきっと気づくことであろう。それほど、アナログの世界は奥が深い。
盤おこしに関して 喜代門 守 [きよと まもる](VINTAGE JOIN)
希少なHMV オーストリア盤3枚より音を聴いてセレクトしております。同じマトリックスの物ですが、出てくる音は盤によって全然違います。まずは何度も聴いて盤質の音の出方の違い、ノイズの入り方、そしてVPOの流れるような気持ち良いサウンドを意識して盤のセレクトをしていきます。機材のセレクトも同じです。ターンテーブルはElacのアイドラープレーヤーのElac Miracord 10H(1962年)、カートリッジはElac のMST-1(mono1955年)を使用しました。アイドラーの力強い音質、モノラルの音圧にも負けない太いアームが特徴です。MST-1 は出力が約22mV もあります。フォノアンプやプリアンプで増幅された音ではなく、カートリッジにて大きく発電する音の密度が感じられるカートリッジです。ピアニッシモ時の空気感も出せるようにスタイラスのチップはダイヤモンドかサファイヤか?ダンパーは天然ゴムか合成ゴムか?などの選抜をしてダイヤモンド+天然ゴムダンパーのスタイラスをセレクトしました。針圧も3gから徐々に重くしていき、この盤とのマッチングをとっております。イコライザーカーブはFFRR,NABを聴き比べし、ベーレンプラッテの金子氏との打ち合わせにてFFRRを採用しております。カーブの選別をする際には、木管、金管の音が分かりやすいので、響き、音の余韻、消え方がいかにホールに馴染んでいるか、自然か?に重きを置いて判別しております。録音は電圧も安定する深夜から朝にかけて行っております。
使用機材
Cartridge: Elac Mst-1 Diamond Stylus
Turntable: Elac Miracord 10H
Phonoequalizer: Emotion-1monoS (vintagejoin)
Equalization Curve: FFRR
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2014年03月25日 19:30