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平田王子、渋谷毅の新作共演アルバム

平田王子 、 渋谷毅

2011年にリリースされた『ルース・ド・ソル* 太陽の光』が、ジワジワと深い感動を呼んだ平田王子、渋谷毅が満を持しての新作をリリース。2人の共演作品としては、平田の単独リリース作品『マイ・ジョアン』のDuo ゲストで渋谷が3曲参加したことが最初で、以来5 年あまりの時が経過。その間には、数々のライブも繰り広げ、音楽を深めて来ましたが、『太陽の光』から2年、ここに温かなる成熟があります。基本は揺るぎなく、平田さんの大きなルーツであるボサ、MPBといったブラジル音楽。ジョビンやドナート、エドゥ・ロボ、シコ・ブアルキといった巨匠の曲が、みずみずしく美しく紡ぎだされる感覚は前作の延長線上にあって、シンプルにしてスピリチュアル。しかしまた、今回の魅力は、そうしたブラジルの曲の中に聴く2人のオリジナルの数々でしょう。前回と同じ13曲を収録する中、今回は7曲がオリジナル。これらが、あまりにも愛おしく響きます。ブラジルの大巨匠たちの楽曲に交わって、合い響く音楽の原点には、平田王子、渋谷毅という2人のブラジル音楽への深い理解があるのは言うまでもありませんが、日本人が心の深い所に抱く心象風景が、ブラジル音楽のリズムやハーモニーをまとって、サウダージにつながる感覚は、聴く人の琴線を揺らしてあまりあるものと言えましょう。

例えばM11の「山形」、M12「誰そ彼」は、日本の情景とブラジルの色彩が水彩画のように爽やかに重なる楽曲。一方M10 は、“みんなの歌”や“おかあさんといっしょ”など子供たちのために数々の楽曲を作曲してきた渋谷らしい優しさとノスタルジーが滲んだ一曲。そして、また注目は、M7 の「朝食」。この曲は、今世界で時めく由紀さおりさんに提供した渋谷の曲(※ 渋谷は由紀さおりさんの多くの曲を作曲、編曲)ですが、今回は、その楽曲に平田がポルトガル語で新たに作詞。生命感鮮やかにも、繊細なセンチメンタルが滲む表現には、生きていることの喜びや、ほの哀しさのようなものまでもが匂いたちます。そしてそれらを聴く時・・・私たちは、ブラジル音楽という枠を越えて、日本の偉大なるPOPSの歴史に連なるものとも感じることになります。ギターとピアノ、そして声というシンプルなものにして、豊潤な音楽の実り・・。最後は、平田のもう一つの大切な世界、ハワイアン。天空に広がるような世界も余韻たっぷり。心のひだに優しく届き、自然に気持をそっとやわらげる魔法のような音楽。呼吸一つ一つまでもが美しい静かなドラマに満ちた作品です。

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2013年12月10日 19:30