アルゼンチン・モダン・フォルクローレ話題ユニット=ランブル・フィッシュ

アルゼンチンはロサリオで20年以上の活動キャリアをもつランブル・フィッシュの、自国メディアにその名が浸透するきっかけとなった2003年のセカンド・アルバムを特別限定再プレス。比較的オーセンティック・ジャズ寄りだったファーストに比べて、独自の世界が構築されており、次作『Los Viajes Del Día』への入口となっている。クラウディオ・ボルサニとともにリーダーを務めるガストン・ボッサノのオリジナルのほかキケ・シネシ、カルロス・アギーレ曲を披露しているのも次作と同様だ。
「インプロヴィゼーションを伴う室内音楽、とでもいうのか。様々なジャンルのミクスチュアの過程があって、アコースティックなだけでも、アカデミックなだけでもない、僕らの音楽というのと対峙し、時間をかけてその姿を捉え、完成に近づけていったんだ。バッハやジスモンチ、オレゴンを探求し、その豊かな反復旋律をもっとシンプルなものに研ぎ澄ましていった。ほかにはゲイリー・ピーコックやドン・チェリー、ナナ・ヴァスコンセロスなんかを聞いた、彼らはエクスペリメンタルだけど、その自由さとか開放感のようなものに惹かれたんだ」
と語るのはガストン・ボッサノ。CD のブックレットに挿入されたホメロス”オデッセイア” からの引用に関しては
「”オデッセイア” は素晴らしい本で、その一節が頭の中にあったんだ。それで、このアルバムのすべての曲が、ホメロスが見つめていたであろうエーゲ海の世界へつながるように意識した、あの、安息の地というシンプルな世界へ」
深海を流れるようなクラウディオ・ボルサニの澄んだギターに細やかに加わるパーカッションは海の気泡のよう。このたった一枚のディスクに、海底にきらめく色とりどりの宝物が詰め込まれている。
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カルロス・アギーレ参加、キケ・シネシの楽曲も取り上げており、日本でも話題となったサード・アルバム(2008 録音)の限定再プレス。アルゼンチン・モダン・フォルクローレ・シーンにおいて、カルロス・アギーレの主宰するレーベル、シャグラダメドラへの信頼感を一気に押し上げたトリオ作『Luz De Agua』のメンバーとして注目を集めるギタリスト、クラウディオ・ボルサニを擁するランブル・フィッシュは、90年代前半結成、アルゼンチン第三の都市ロサリオで活動。地元のジャズ・フェスティヴァルでも頻繁に登板するグループだという。エグベルト・ジスモンチ、パット・メセニー、トム・ジョビンの影響色濃いフォルクローレ、ジャズ/フュージョン、クラシックをミックスさせた曲調、それはしかし新鮮というよりむしろ心を落ち着かせてくれる。
「音楽は音楽として確立されていて、制作の過程での出会いや何かも含めて、何を映し出そうというものでもない。ただ結果として音楽そのものが人生を映し出すんだ。音楽はきわめて推測や憶測を必要としないものだと思う。ランブル・フィッシュのメロディはとてもわかりやすくてシンプルで、そのシンプルさが、あるコンポジションを導き出す。そうして、その先の、辿り着くべき、真実の美に到達する」
街の雑踏を背にして一人歩き出す女性は”DAY TRIP=Los Viajes Del Día” へと向かう。遥か彼方から聴こえてくる口笛M-1「Algaida」が誘うその旅は、美しいピアノの旋律に時折つぶやくようなスキャットをのせたM-2「Con los primeros pájaros de la mañana」を経て、果てしない旅路へと向かう。アンドレス・ベエウサエルトの世界観に通じる、極上のサウンドトラック。
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