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デヴィッド・ボウイ『アラジン・セイン』40周年記念盤・最新リマスタリング

David Bowie

 

1973年4月13日にRCAビクターよりオリジナル・リリースされた『アラジン・セイン』は、デヴィッド・ボウイにとって6作目となるアルバムで、デヴィッド・ボウイとケン・スコットの共同プロデュース。前作『ジギー・スターダスト』の成功でスターとしての揺るぎない地位を確立したボウイは、本格的なアメリカン・ツアーに進出。そしてツアー先のアメリカにおいて、次作となるこのアルバムのほとんどの曲が書かれた。レコーディングは、ロンドンのトライデント・スタジオと、ニューヨークおよびナッシュビルのRCAスタジオにおいて、1972年10月6日から翌1973年1月24日にかけておこなわれ、本作はミック・ロンソン(ギター、ピアノ、バックヴォーカル)、トレヴァー・ボウルダー(ベース)、ミック・“ウッディ”・ウッドマンジー(ドラム)からなるスパイダーズのラインナップによる最後のアルバムとなる。その一方、ボウイの新しいコラボレーターとして、前衛ジャズピアニストのマイク・ガーソンが初参加しており、ボウイ自身もヴォーカルのみならず、ギター、ハーモニカ、キーボード、サクスフォンを披露している。

ボウイ自ら“ジギー、アメリカへ行く”と評するこの『アラジン・セイン』は、それまでの作品に比べると、ロック指向が強く熱狂性の感じられるアルバムに仕上がっているが、オープニングの「あの男を注意しろ」や、かなり大胆なアレンジを施した「夜をぶっとばせ」のカヴァーなどには、ローリング・ストーンズの影響が垣間みられる。一方で、全英第2位シングルとなった「ジーン・ジニー」のリフにはマディ・ウォーターズの影響が、そして第3位になった「ドライブ・インの土曜日」に漂う “超時代的ノスタルジア”は、1950年代のドゥーワップにインスパイアされたものである。アルバムの中でも最もデカダン的な美学を感じさせるのが「気のふれた男優」だが、これはハリウッド・ブールバードをドライヴしたあとに書かれたナンバーで、そのイメージや情景を盛り込みながら痛々しいほどのロックンロールに仕上げている。マイク・ガーソンの参加、そしてボウイの類い稀なる才能によって、アルバムの主要トラック、とりわけ不協和音によるインプロヴィゼーションが印象的なタイトル・トラックや、ブレヒト風仕立ての「時間」、そしてアルバムのエンディングを飾る「薄笑いソウルの淑女」などには、“ヒリヒリした壊れ感”が見事なまでに染み込んでいるのだ。

イギリスではこのアルバムはなんと予約だけで10万枚に達し(ビートルズの全盛期以来の記録)、ボウイにとって初のナンバーワン・アルバムとなった。またアメリカでもビルボードのアルバム・チャートで最高位17位を記録した。

今回の40周年記念エディションは、ロンドンのAIRスタジオでレイ・スタッフによってリマスタリングされた。彼はトライデント・スタジオ時代にオリジナルLPのカットも手がけた人物で、昨年発売された『ジギー・スターダスト』40周年記念エディションのリマスタリングでも高い評価を受けている。

さらに『アラジン・セイン』からのシングル曲「Drive-In Saturday」が初回生産限定ピクチャー・ディスクの7インチで登場。また1965年発売のレア・シングル2枚を4曲入りEP盤に収めた7インチも同時発売。

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掲載: 2013年03月14日 12:58