テテの、とびきりポップでとびきり切ない3年振りの新作

photo by Dimitri Coste
10年以上に渡って所属してきたSONY FRANCEを離れ、あらたなレーベルでスタートを切ったテテ。今話題のプロデューサーでもあるJulien Delfaud (ジュリアン・デルフォー。あのPhoenixやRevolverをプロデュースし、Alex Gopherとのユニットでも知られる)との共同プロデュース。ビートルズをはじめとする、1960年代を彷彿とさせるサウンドにまず驚かされる。当時の音の香りを漂わせるストリングスやホーン・セクション、そしてシンセが作り出す音の細部にまでこだわった、テテならではの音作りが楽しい。さらに驚かされるのは、このアルバムのギター・パートを全てテテが演奏していること点。つまりあのテテがエレクトリック・ギターを弾いている!もちろんアルバム全体はアクースティックな雰囲気に包まれているのだが、ところどころで聴ける、テテの激しいエレクトリック・ギターによるソロ演奏が大きなアクセントにもなっている。
そして歌詞の面でも、今まで自分の家族や半生についてあまり触れることのなかったテテだが、この新作では、父親のこと、母親のこと、そして祖父母との想い出を歌に込めるなど、今まで以上に、テテの想いがアルバムの至る所から溢れ出ている。「2人きりで 太陽のかがやきの下へ行こう 恋に落ちて 一糸まとわぬ姿で」テテ流ヌーディスト宣言(?)ともいえるポップ・チューンの[2]、涙なくしては聴けない母子家庭だったテテが母親への想いをストレートに表現した[4]、タイトルもご機嫌なアルバムからのファースト・シングル・カットとなったレニー・クラヴィッツ+モータウン風[5]、パリへやってきてストリートやバーで歌い出した頃の自分を振り返った[6]の詞は心に染みる。2011年の来日ツアーでも演奏されたとびきりポップな[9]、テテがこだわるニュー・オリンズをテーマとした[11]ではブラス・バンド・アレンジも楽しい。ビートルズのマジカル・ミステリー・ツアーを彷彿とさせる(「アイ・アム・ザ・ウォルラス」?)スペイシーかつヘヴィーなサウンドが強烈な印象を残す[13]、そしてイントロのストリングスから後半のテテの激しいエレクトリック・ギターへとなだれ込む[15]は、怒りの流れが、人々を否応なしへに戦争へとかりたててしまうというテテ流のメッセージ・ソングとなっている。
オールディーズを再構築した、テテならではのノスタルジックかつモダンなサウンドに、自分が歩んで来た人生を振り返りつつも、あらたな一歩を踏み出したテテの新作は、聴く人一人一人の心に語りかけてくる。出会って良かったと思える、心の芯から暖まるアルバムだ。