名手シュタイアー~「メランコリックなドイツ&フランスバロック鍵盤作品集」

名手シュタイアーの最新盤!
メランコリックなドイツ&フランスバロック鍵盤作品集
瞑想的な旋律美と深い表現力に脱帽
鍵盤奏者として確固たる地位を築く名手、アンドレアス・シュタイアー待望の新譜!
2012年にリリースされたベートーヴェンの「ディアベッリ変奏曲(HMC902091)」での名演も記憶に新しいシュタイアーですが、今回はチェンバロ・ファン必見のオール・チェンバロ・プログラム。17世紀のフランス&ドイツ・バロックの鍵盤作品を対象に、特にトンボーや哀悼歌など「憂鬱(メランコリア)」あふれる作品に焦点を当てたアルバムとなっています。近年はより深みのある音色と表現に磨きをかけてきているシュタイアー。本アルバムでも期待を裏切らぬ素晴らしい演奏で魅せてくれます。
今回のプログラムについて、「『トンボー』や『嘆き』はフランスのリュート音楽において典型的な様式ですが、クラヴサン奏者のレパートリーとしても等しく重要なのです」と語ったシュタイアー。フローベルガーやダングルベールといった初期バロックの作品から、クレランボーやムッファトなどの後期バロック作品に至るまで幅広く収録しており、たっぷりとバロック・メランコリーを堪能するアルバムに仕上がっています。フィッシャーのリチェルカーレ「イエスが十字架にかけられしとき」やムッファトの「パッサカリア」など、オルガン作品をチェンバロで演奏しているところにも注目されましょう。
当時のヨーロッパにおいては、「憂鬱」という言葉には「瞑想」のイメージが多く含まれていたそうで、本アルバムに収録されている作品も、全体的に「瞑想」という言葉がしっくりくるような落ち着いた曲調の作品が目立ちます。とはいえ、決して暗く沈みこんだ雰囲気に徹することがないのは、シュタイアーの緩急鮮やかな表現力が成せる業。音の響きの重みはそのままに、ドイツとフランスそれぞれの響きをしっかりと表現し分けているところも名手の面目躍如といったところでしょうか。バッハの「ゴルトベルク変奏曲(HMC902058)」でも絶賛された、明瞭な音捌きと圧倒的な響きの厚みは今回も健在。まさに骨太の演奏に定評のあるシュタイアーの魅力の真髄に聴き入るにぴったりのアルバムです。
【曲目】
(1)フローベルガー: 組曲第30番 イ短調
(2)ダングルベール: 「オルガンのための種々のフーガ」より 基礎のフーガ イ短調
J.C.F.フィッシャー: 「音楽のパルナッソス山」組曲「ウラニア」ニ短調より
(3)トッカータ
(4)パッサカリア
(5)ルイ・クープラン: 組曲 ヘ長調
ダングルベール: 「クラヴサン小品集」より
(6)プレリュード
(7)シャンボニエール氏のトンボー
(8)シャコンヌ ロンドー イ長調
(9)J.C.F.フィッシャー: 「音楽のアリアドネ」より リチェルカーレ「イエスが十字架にかけられしとき」
(10)クレランボー: 「クラヴサン曲集第1巻」より 組曲 ハ短調
(11)ゲオルグ・ムッファト: 「オルガン音楽の練習」より パッサカリア ト短調
(12)フローベルガー: 皇帝フェルディナント4世陛下の悲しい死に寄せる哀悼歌
【演奏】
アンドレアス・シュタイアー(Cemb.)
使用楽器: 17世紀末フランス製クラヴサン"Anonyme Collesse"(2000-2004年、ロラン・ソマニャック)
【録音】
2012年2月、テルデックス・スタジオ(ベルリン)