ミンコフスキの待望の新譜は、シューベルト:交響曲全集

ミンコフスキ&レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル
シューベルトの交響曲全集!
ミンコフスキの待望注目の新譜の登場
2012年3月に、ウィーンのコンツェルトハウスでの、シューベルトの交響曲全曲演奏会のライヴ録音です。
ミンコフスキとレ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブルといえば、2011年のレコード・アカデミー大賞受賞のコンビ(ハイドン:交響曲全集;V5176/KKC5150)であり、さらに、7月末にアンサンブル金沢と素晴しく精緻なフランス音楽を聴かせてくれたミンコフスキの新譜というだけに、期待が高まります。
シューベルトの初期の6つの交響曲は、シューベルト16歳の1813年から1818年にかけて作曲されました。第4番は歌曲「魔王」の後、1816年4月に作曲されたものですが、ミンコフスキは「ハイドンの『十字架上のキリストの最後の七つの言葉』を思い起こさせる。『悲劇的』という副題がついてはいるが、この作品はドラマティックなもの、というよりも、宗教的なインスピレーションに基づいたものだ」と語ります。
初期の6作から5年ほどの間をおいて書かれた「未完成」について、ミンコフスキは、「ロ短調という調性で、作曲者は、彼自身のことや、彼の運命についてのかなしみを語っている。彼は新しい扉を開け、そしてその先には、底なしの暗い裂け目があり、それはアンダンテの絶望的なピアニッシモであらわされているようだ。シューベルトの交響曲の中で初めて、シューベルトの音楽に特有のあの哀しみの昇華、胸が苦しくなるような光景がみられる。弦楽五重奏曲や「死と乙女」の緩徐楽章にもどこか似ているようだ」と語ります。
楽器配置は、ヴィーンの伝統に基づき、ヴァイオリンは指揮者の両脇に、コントラバスは指揮者の正面に配置。オーボエもウィーン仕様で、鼻にかかったような、柔らかな音色です。コントラバスは、通常は4台ですが、第5番では2台のみ。そして、「グレート」では、「シューベルトの野心があらわれており、ハイドンの天地創造やベートーヴェンの第九のような何かがある」として、5台のコントラバスを採用。さらに、第Iフルート、オーボエ、第IIクラリネットを倍増、ファゴットを強化し、各楽器が3人となることで、ブルックナーのような、どこかオルガンのようなスケールの音色が生まれています。
ミンコフスキの緻密なスコアの読み込みと洞察には興味が尽きません。そして、とくに初期6作品での演奏の溌剌としたリズム、「未完成」と「グレート」でとりわけ生々しく感じられるシューベルトの人間味の表出など、現代のぞみうる最高のシューベルトの交響曲全集がここに完成しています。
2013年2月には、ミンコフスキ&レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブルの来日公演でシューベルトの「未完成」も演奏されることになっており、非常に注目度の高いボックスです!
『F.シューベルト(1797-1828): 交響曲全集』
【曲目】
F.シューベルト(1797-1828):
[CD1]
第3番 ニ長調 D200 (1815)
第1番 ニ長調 D82 (1813)
第2番 変ロ長調 D125 (1814-1815)
[CD2]
第5番 変ロ長調 D485 (1816)
第4番 ハ短調 D417「悲劇的」 (1816)
[CD3]
第7番 ロ短調 D759「未完成」(1822)
第6番 ハ長調 D589 (1817-1828)
[CD4]
第8番 ハ長調 D944「ザ・グレート」(1825?-1828)
【演奏】
マルク・ミンコフスキ (指揮)
レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル―グルノーブル
【録音】
2012年3月、ウィーン・コンツェルトハウス (ライヴ)
※交響曲のナンバリングおよび演奏は、ベーレンライター版による
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