ジ・オーブとリー・ペリー。二つの伝説が邂逅した驚愕コラボ・アルバム

アレックス・パターソンを中心に結成され、現在はトーマス・フェルマンとの二人体制として“アンビエント”や“ダブ”をキーワードにハウス/テクノのあり方を拡張、デヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)との共演盤も記憶に新しいアンビエント~ダブ・テクノの核心ジ・オーブ。そして、レゲエ~ダブの生ける伝説として齢80にも届きそうな現在でも世界中のフェスなどに出演し、近年では<ON-U>からダブステップ・アルバムもリリースする、まさに衰え知らずな御大リー・ペリーによる驚愕のコラボレート・アルバムが到着!
本作はジ・オーブ側からの8年越しのオファーが実り、念願のセッションが5日間に渡って行われた。リーの枯渇知らずのインスピレーションにより予め用意していた4曲のトラックはすぐにレコーディングが終わり、その勢いを維持するために急遽新たなトラックを用意して、この3人による魔法のようなセッションは次々と曲を生みだし、瞬く間にアルバム・サイズにまで膨れ上がった。冒頭の”BALL OF FIRE”(M-1)からジ・オーブのふたりが作り出すブレイクビーツやハウス、ミニマル・テクノに染み付いたダブの遺伝子をリーの声が一発で覚醒させ、喚起されたへヴィ・グルーヴは得体の知れないうねりと躍動感を宿している。そして、特筆すべきはスティーヴ・ライヒの“Electric Counterpoint”をサンプリングした、オーブ初期の名曲“Little Fluffy Clouds”へのセルフ・オマージュ(ベースは当時と同じくキリング・ジョークのユースが担当!)ともいえる“Golden Clouds”(M-5)とリー・ペリー・プロディースの最大のヒットのひとつでありザ・クラッシュもカバーしたジュニア・マーヴィンの“Police & Thieves(ポリスとコソ泥)”をスモーキーでブルージーに燻した超重量級ダウンテンポ・カバーと互いの往年のファンには堪らない名曲のアップデートを収録。さらに、本作の共同録音エンジニアにはマルセル・デッドマンやレン・ファキ、シェッドらを擁する現行ベルリン・アンダーグラウンドの牙城<Ostgut Ton>からモーリッツ・フォン・オズワルド・トリオでも腕を振るうトバイアスを起用し、最新ベルリン・ミニマル・テクノの血も見事に注入。二つの伝説の邂逅は、単なるコラボレーションを超えて互いのキャリアにおいて今後も燦然と輝き続けるであろう名盤を生みだした。