クラーク、最高傑作の呼び声高い『Iradelphic』から半年足らずの新作
2012年4月にリリースされた6作目となる『Iradelphic』では生楽器やアナログ機材を大胆に導入し、新機軸へシフトしながらもその圧倒的なクリエイティビティを披露。同作を携えた“SonarSound Tokyo”での来日公演ではキャリアを包括するようなライブ・セットでオーディエンスを熱狂の渦へと巻きこんだ次世代<WARP>の象徴、クラーク。 その後のワールド・ツアーでもかつてないほど重厚なサウンドが特徴的で、サイケデリックなシンセサイザーの即興、独特のビート・プロダクション、そしてより派手でメロディアスなフレーズが世界中のファンを唸らせている。ライブを行いながら進化を続け、とめどなく溢れるその創造力が実を結び、わずか半年足らずで『Fantasm Planes』が到着した。本作『Fantasm Planes』の制作に関してクラークは、ライブ・セットに大きくインスパイアされたことを語っている。よりハードで、よりダンスフロア向けにアップデートしたそのアプローチが還元された楽曲群は『Iradelphic』に収録された重要曲を最新ヴァージョンにアップデートした3曲と、最新トラック3曲にボーナス・トラックを加えた全7曲を収録。
螺旋状にうねるミニマルなシンセ・ワークとクラークらしいフロアライクなビート・プロダクションがポリリズミックに絡み合う新曲「Fantasm Planes」(M-1)で幕を開けると、『Iradelphic』の冒頭をオリエンタルなアルペジオで飾った「Henderson Wrench」が破壊的なハンマー・ビートを従えた「Henderson Swooping」(M-2)へ豹変、サイケデリックなメロディが頭から離れない「Com Touch」にもクラークらしい凶暴なアタック感のあるビートが敷かれ、新たなモチーフへカット・インするダイナミクスに興奮を禁じ得ない「Com Re-Touch / Pocket for Jack」(M-3)へ再構築されている。さらに、自身の作品にはじめてヴォーカリストを招いた、マッシヴ・アタックやトリッキーで知られるマルチナ・トップレイ・バード参加曲「Secret」はアルバムで見せた深淵がまるで嘘だったかのように、よりディープなサウンドスケープを纏ったヴァージョン「Secret Slow Show」(M-5)へ深化、残りの新曲2曲ではチルアウトからは程遠い、クラークにしかたどり着けない高揚感が充満するアンビエント・トラックを収録。本作を聴かずに過去最高傑作の呼び声高い『Iradelphic』で獲得したその圧倒的な “自由”は完結しない。
「イアン・ブラウンがずっとトランペットの音が好きだったように、俺もフルートの音 に魅了されることがある。それにベースだね。アナログ・ベースとサイケデリックなメロディを使ってフロアをトリップさせるんだ。ヒッピー的なやつじゃない。この『Fantasm Planes』は、爆音で聴いて意識が歪むのを感じるための作品で、そういう意識で制作したんだ。レイヴの感覚を意識しながら、もう一度アルバムにフォーカスしてみた。だけど『Iradelphic』の持つ飽和したテクスチャーは今作でも重要な役割を果たしてるんだ」― クラーク