レベル・ミュージック・ノマド“フィラスタイン”待望のサード・アルバム
掲載: 2012年04月19日 12:09

ラップトップで構成された最先端のベースミュージック(デジタル)と、世界中に散らばる民族楽器の生演奏(フィジカル)を見事に融合させる奇才フィラスタイン3年ぶり3枚目のアルバム『LOOT』が遂に完成。インドネシア、アフリカ北部、ブラジルをはじめ世界の路地(ストリート)で集められたこの3年間の旅の記憶で、これまでの作品を更に深化させた刺激的な傑作。
ザラっとした質感と幻想的で恍惚とさせる音像が織りなす、グローカル・ビーツの真打ち、ここに登場。米国ロサンゼルス生まれのフィラスタインではあるが、前時代的オリエンタリズムといったようなスタンスは決して取らない。19歳の時に手にしたコンガと、近所のガス・ステーションから盗んできたドラム缶という“楽器”を皮切りに、ザキール・フセイン(インドの国宝級タブラ奏者/タブラ・ビート・サイエンス)に師事し、タブラ演奏を習得したり、ブラジルではリオ・デ・ジャネイロのサンバ・チームに参加し、またモロッコに長期滞在して伝統楽器の演奏に腕を磨いたりと、一人のパーカッショニストとして(現在でも)常にその生身は最前線の現場に置いている。そういった経験から研鑽された一流のパーカッショニストでもあるフィラスタインの奏でるビートは、ダブステップやクンビア、ヒップホップ、デジタル・ダンスホールなどのダンス・ミュージックを独特なリズム感とチョップ感、また自分で改造したソフトウェアなどを駆使して、まさにオリジナルなものへと昇華させている。
インドのタブラ、近東~中東のダラブッカ、ブラジルのパンデイロ、モロッコのカルカベからショッピング・カートetc…の打楽器はもちろん、インストゥルメンタル面でもガムランやチェロ、ギター、トランペットから、バルセロナのイスラーム教区でのフィールド・レコーディングなど、世界中のありとあらゆる音を素材に、楽曲の奥行きを拡げ、色彩を与えていく。電子と有機、タイムツイストとリアルタイムの間に美しい緊張を保ちながら。そして本作にはインドネシアを代表するフィメールMCノヴァや、前作“Dirty Bomb”にもフィーチャーされた日本のリヴィング・レジェンドECDが参加しており、“Colony Collapse”(植民地崩壊)と名付けられた、ガムランの響きが幻想的なダブステップ・トラックや、2011年ネット上で発表され話題となったECDによる“反原発REMIX”のラインを使用した“Lost Records”、インドネシア共産党への弾圧により40年間禁止され、今なお半タブー化している魂の歌の歌詞を使った“Gendjer2”などをはじめ、全編を通し強烈なメッセージを発している。将来、国家における「政府」というものは用をなさない物になるだろう。その時、主役を担うのは果たして「貨幣」という幻想なのか、それとも私たち「人間」ひとりひとりなのか。架空の紙幣がデザインされた本作『LOOT』のジャケットを含め、フィラスタインは全ての現代社会に向けて重大な問いを投げかけているのではないでしょうか。
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