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Gretchen Parlato, Becca Stevens etc...『ホーム~ギフト・オブ・ミュージック』

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/10/29   18:53
ソース
intoxicate vol.100(2012年10月10日発行号)
テキスト
text:多田雅範(Niseko-Rossy Pi-Pikoe)

ニューヨークの若手実力派が集結!

まぶしいばかりのアコースティック・ギターとピアノのつまびき、エリオット・スミス好きなおれにはストライクなアラン・ハンプトンの声! すかさずポスト・マーク・ターナー的でデズモンドの甘さの毒で入ってくるサックスでノックアウト。ダイナ・ステファン、要チェックだ。これがアメリカから届いた東日本大震災のチャリティーCDとは…。6月にニューヨークはダウンタウンジャズシーンの定点観測に出かけたジャズ評論家益子博之がライヴであまりに良かったとベッカ・スティーヴンスのCDをくれた。ワイアード日本版編集長若林恵が昨年の年間ベストに掲げた盤だ。そのベッカがアカペラとオリジナルの2曲。グレッチェン・パーラート、サシャル・ヴァサンダニといった花形ヴォーカリストのほかに、アダム・ロジャース、クリス・トルディーニ、ベン・ウイリアムスといった光るジャズプレイヤーたちが集った。このチャリティを企画したNY「ジャズ・ギャラリー」プログラミング・ディレクターであるサカイリ・リオさんのパートナーが、注目の作曲するドラマー、ジョナサン・ブレイクであり、じつに細部まで行き届いたサウンドで支えている、タイコの質、重要だわ。当初は被災された方々へCDをプレゼントする企画だったという。レコーディングでは化学反応が起こるようにアイディアが音楽になった、これだけのミュージシャンがそれぞれ1、2テイクで仕上げていったという、これは魔法のようなセッション作品だ。PVがYou Tube「DOVES from “Home”」で視聴でき、この曲と、冒頭の「がんばれ日本」メッセージはチャリティらしい仕様を聴かせているが、中身の7曲は格別にクオリティが高い。フェイスブックですぐにミュージシャンとつながれたり、マイクロ・ファンドですぐにCD制作の応援ができるようになったり、音楽はとても近くなった。そんな空気感が詰まっているような奇跡の作品だ。そうそう、アビー・リンカーンの《The Music is the Magic》がいい色彩でカヴァーされている。

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