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連載/コラム

半年後には100回劇場に通っていた

連載: アイドルのいる暮らし

掲載: 2012年05月28日 13:00

更新: 2012年05月28日 13:00

文/岡田康宏(サポティスタ)



半年後には100回劇場に通っていた



アイドルの世界にもう戻ってくると思っていなかったんだけど、2005年の12月、SKiファン時代からの友達とお笑いのライブを見に行くことになって。まだ時間があるし、お台場でアイドルのイベントあるから見に行こうよって誘われて。お前ら、まだ秋元康プロデュースのアイドルとか見てんの(笑)とか言いながら見に行って。バカにしながら行ったら楽しくて、秋葉原で毎日ライブやっているらしいよって聞いて、翌日から見に行きました。それで半年後には100回見ていました。

おれが最初に行った日、その日はおれが最後に入ったんだけど、整理番号は61だった。05年の年末くらいまでは100人いかなかったと思う。2月の頭の土曜日に初めて定員の250枚が完売して、大島(麻衣)が涙ぐみながら「こんなに早く満員になって(うれしい)」って。おれは土日は行けなかったからその日は行ってないんだけど、平日は全部行っていて生活がちょっとおかしくなっていた時期だね。会社が秋葉原から近くてロスタイムなしで劇場に行けたというのと、当時は公演が8時半くらいまでには終わっていたから、ちょっと残業してきましたくらいの感覚で家に帰れたんだよね。

印象に残ってるのは最初の年のいわゆる「生誕祭」。AKBの場合は06年2月、当時最年少の増山加弥乃って子のが「生誕祭」のひな形で、彼女を子役時代から知ってる劇場最古参の強ヲタが色々劇場と掛け合って、ステージにケーキを出したのが始まり。今はファンの規模が大きくなり過ぎてヲタT作ってフラワースタンド出してサイリウム配ってって定型のことしかやることないけど、最初は劇場もヲタも手探りだったから色々できた。自分の推しの時はいわゆる「実行委員」のメンバーが、AKB全体のTOみたいなやつとか、おもしろい人多くて、無茶苦茶やった記憶がある(笑)。DVDの特典映像にも残ったくらい。

俺がやったのは実務の統括みたいな役割だね。もともと最初にやるって言った子がプレッシャーに耐え切れなくなって逃げちゃって、年齢的にも上の方だったんで、仕方ないからやってやるかって感じで、TOの子をサポートしながら、ケーキはどこに発注して花はどこに発注してみたいな手配を全部やって。サッカーのサポーターをやってる子に頼んで特製の横断幕とか作ったりとか。ヲタとの絡みとか趣味じゃないんだけど、皆いい奴らだったから最高に楽しかった。



最初の二ヶ月はメンバーと会話する機会なし



AKBって今では接触(*5)の権化みたいに言われているけれど、最初はすごくストイックにステージをやっていた印象。12月半ばに劇場のセットが壊れて公演ができなくなり急遽サイン会が行われたことや、お台場ホットファンタジーなどでメンバーがビラ配りをしている時にちょっと話すことはできたけれど、握手会は最初の二ヶ月はまったくなくて、メンバーと会話する機会も基本的にはほとんどなかった。いきなり握手会どっぷりなアイドルだったらそんなに好きになっていなかったかもしれないけれど、毎日一時間半なりのステージがちゃんとあって、デビューシングルがでてから応援しなきゃと思って買って、頑張ってねって声をかける感じで、自分の中で、ちゃんと距離をとれるなって思ったから。
注*5 握手会など、アイドルと直接触れあえるイベントのこと。

メンバーのソロジャケットが付いたCD20枚組2万6千円とかで、買うと2ショットポラが撮れるって企画があったんだけど、そのときとかも、すごく批判があったくらい最初の頃はストイックだったの。まあ撮ったけどね(笑)。

そんなに接触重視ではなかったから、実際、本人から自分のファンなんだって認識されたのも結構遅めだと思う。手紙はよく書いていたけれど、積極的にのめり込んでいる感じではなかった。



初期メンバーには今でも並々ならぬ愛情がある



AKBの初期メンバーに関しては今も並々ならぬ愛情があるよ。例えば板野(友美)なんかは世間的にもいじりやすいキャラで俺も昔の友だちとかとネタにはするけど、新参のお前らは馬鹿にすんな!みたいな偉そうな感じで(笑)。チームAはAKBがどんなものかわからないで入ってきているし、なにをするかもよくわからないまま入ってきているから、独特のゆるい感じがあって、そこがよかったんだよね。チームKはAKBがどういうものか分かってはいってきているから目的も野心もある。後発組だからガツガツしていて、俺はそれがちょっと苦手だった。

AKBでもお金はそんなに使ってないよ。最初はライブ1回千円だったし。途中で2千円になったけど、100回見ても20万円いかないから。今時の若い子が一回のCD発売で100枚とか買うのに比べればたかがしれてる。俺は握手会でも基本的に1回しかいかなかったし。「僕の太陽」のリリイベ(リリースイベント)のとき、ちょっとテンション上って5回回ったら、向こうもびっくりしちゃって「どうしちゃったんですか」って言われるくらいだったから。

自分がこんなに売れているアイドルグループのファンでいることは珍しいよね。ribbonからアイドルに入ったわけだけど、それ以降は一度も売れているグループのファンだったことがなかったから。青田刈りなんでしょって言われると反論できない部分もあるけれど、それだけじゃないという気持ちもある。ノイズが入ってくるのが嫌なんだよね。MIX(*6)とかも含めて直接的なノイズもそうだし、メディアを通して入ってくる情報もそうだし。自分とそのアイドルとの関係が全てだから。
注*6 アイドルファン特有のコールの一つ。90年代からあるオタ芸の一つだがAKB以降、大流行している。



アイドルは距離感のゲーム



アイドルは距離感のゲームだと思っているから、自分の好きな距離感に合わせられるかどうかが大事だと思う。近すぎてもダメだし遠すぎてもつまらないし、個人的なことを知っても意味がないし、ステージでどんなことをやってくれるのかが自分にとっては一番大事。

アイドルヲタとしての最終目標って、繋がることでもないし、付き合うことでもないし、セックスすることでもないし。自分がその子のことを一番好きなのは、その子がアイドルとしてステージに立っているときだから、そのアイドルと自分の関係を成立させる距離であったり空間であったりというのが大事なんだと思う。そういう部分が「アイドルは距離感のゲーム」と言っていることの意味で。とことん近づくのが自分の距離感だという人もいるだろうし、完全に書斎派の人もいるだろうし、それは人それぞれだから否定はしないけど。

あとで、これだけ劇場に通っていたのが奥さんにバレたときは離婚の危機になりました。ただ嫁さんが懐が深かったというのと、おれが心を入れ替えたのもあり、今も無事、夫婦を続けています。ただ娘が生まれてからは自分の中のアイドルに対する感情もかわって来た気がする。アイドルって距離感があることで恋愛の初期衝動を保ち続けられるみたいなところがあるでしょ。俺は自分の好きなアイドルに常に擬似恋愛的な感情を持って見ていたけれど、その感覚がなくなってきたのかもしれない。



はじめて箱推しに



AKB劇場が当たりにくくなったのと、アイドルシーン全体が盛り上がってきたこともあって、平日の石丸イベントとか、仕事と家庭に負担がかからない範囲で他のアイドルも見るようにはなった。10年に大阪出張行った時に暇つぶしに見たJK21にハマって、そこではじめて「箱推し」(*7)みたいな感覚が生まれたんだよね。それまでは必ず一推しがいないとダメだったの。そういう意味では上の世代で昔からアイドルファンを続けている人の感覚に近くなったのかもしれない。
注*7 グループの中の特定のメンバーではなく、グループ全体を推すこと。

もうアイドルはいいやって思っていたのが、5年経ったら戻ってきたみたいに、いつか戻ってくるのかもしないし、それは分からない。ただ、俺の場合は、自分の生活の中でアイドルが一定の重みを占めるだけの時間がないと気持ちが高まらない部分があるんだけど、娘が3人いるとさすがに自由になる時間もないしね。今は行ったらおもしろいアイドルはたくさんあると思うけれど、時間的に無理だから、もうどっぷりハマることはないかなって思ってる。次は娘が独り立ちしたときかなとも思うけど、さすがにそこまで先のことはわからないよね。


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