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フランソワ=グザヴィエ・ロト『ベルリオーズ』『サン=サーンス』『ストラヴィンスキー』

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/04/02   13:53
ソース
intoxicate vol.96(2012年2月20日発行号)
テキスト
桐島友(横浜モアーズ店)

注目の指揮者、ロトによる3タイトル、同時発売!

我々の時代のオーケストラの音色と、クラシック音楽の作曲家たちが生きていた頃のオーケストラの音色は違った…そんな事実を改めて実感させてくれる、とびきり楽しいアルバムをご紹介しましょう。

そのアルバムとは、今めきめきと頭角を現しつつある話題の指揮者ロトと、彼が2003年に設立した古楽器オーケストラ、レ・シエクルよる、サン=サーンス、ストラヴィンスキー、ベルリオーズの3枚です。

最大の特徴は、当時の楽器をパリ音楽院直伝の奏法で演奏することによって生まれる、斬新かつ味わい深い響き。誰もが古楽器オケの虜になってしまうような素晴らしい音です。この魅力的なオケを気鋭の指揮者ロトが活き活きと躍動させているところを想像してみてください。彼のリズム感の素晴らしいこと!

字数の関係上、ここでは一番お薦めのサン=サーンスを詳しく紹介することにしましょう。史上初の古楽器による《オルガン付き》。まず特筆すべきは19世紀の天才オルガン建造家、カヴァイエ=コルが1862年に作り上げたという世界的銘器の使用でしょう。深みのある瞑想的な弱音から大地を震わせるような轟音まで、この大オルガンの音を聴くだけでも充分価値があります。現代の楽器と比べてずっと個性的な音がする当時の管楽器も、サン=サーンスの場合は特に重要です。彼がオルガンを模すかのようにして作り出した様々な混合音色は、当時の楽器で演奏して初めてその効果がわかると言っても過言ではありません。そうした使用楽器の魅力に、ロトの適切なテンポ設定(必ずしも速くはない)や丁寧なフレージング、アーティキュレーションへの気配り等が加わって、今までにない《オルガン付き》を作り上げているのです。

またカップリングとして、これまた素晴らしい音色のエラール(1874年製)を使ったピアノ協奏曲第4番が収録されており、こちらも必聴。すでに過去の名盤をお持ちの方にも強くお薦めしたい1枚です。

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