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第43回――カシーフの世界

ESSENTIALS カシーフとその周辺――(2)

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/03/23   19:00
更新
2010/03/23   19:18
ソース
bounce 318号 (2010年2月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次、林 剛

KASHIF『Send Me Your Love』 Arista/ソニー(1984)

カシーフ自身の2作目には、裏方として絶好調だった当時の勢いを反映するかのように華やかなゲストが集結。シンセを駆使したサウンドにもいっそう磨きがかかり、“Baby Don't Break Your Baby's Heart”のような傑作ミッド・ダンス・チューンを生んだ。デビュー直前のホイットニー・ヒューストンやララの客演もいま思えば貴重。一方、アル・ジャロウが歌う“Edgartown Groove”では裏方に徹し、クリエイター魂を見せつける。*林

KASHIF『Condition Of The Heart』 Arista/ソニー(1985)

前2作で打ち立てた自身のサウンド流儀はそのままに、本3作目ではヴォーカリストとしての力量もアピール。なかでも表題曲は、前年に他界したマーヴィン・ゲイの“Sexual Healing”を意識したようなバラードで、熱のこもった歌もマーヴィンそっくりだ。後にファミリー・スタンドを結成するジェフリー・スミスやSWVを成功に導くブライアン・モーガンの手厚いサポートが、カシーフに歌う余裕を与えたのかもしれない。*林

MELI'SA MORGAN『Do You Still Love Me?: The Best Of Meli'sa Morgan』 Razor & Tie

ハイ・ファッションの一員で、ソロ転向後にはハッシュ・プロの看板女性シンガーとなった実力派。カシーフ作品のバックでも歌っていたメリッサだが、彼との絡みでは、87年にマザーズ・ファイネストのバラード“Love Changes”をロマンティックなデュエットで聴かせたことが印象深い。歌志向を強めていた当時のカシーフにとって、彼女はピッタリの存在だった。*林

STACY LATTISAW『The Very Best Of Stacy Lattisaw』 Rhino

ナラダ・マイケル・ウォルデンとの二人三脚で80年代を駆け抜けた天才少女シンガーも、モータウンから発表した『Take Me All The Way』(86年)ではカシーフを2曲で起用。このベスト盤で聴けるのはシングル・カットもされた“Jump Into My Life”で、これは爽快な歌声が映える好アップだ。シンディ・ミゼルとオードリー・ウィーラーのコーラスゆえか、どこかルーサーっぽい仕上がりなのもおもしろい。*出嶌

GIORGE PETTUS『Giorge Pettus』 MCA/ユニバーサル(1987)

ララも関与したブラコン・シンガーの初ソロで、カシーフは3曲のプロデュースを担当。単独で手掛けたダンス・ナンバー“One Track Mind”、門下生でもある後のリズム・シンジケートの面々と組んだミディアム調の“Trouble In Paradise”、ブライアン・モーガンらと手掛けたメロウな“You're Perfect”と、どれもカシーフらしいアーバンな作法が光る。クリエイターとして最後の輝きを放った忘れ難き一枚だ。*林

JERMAINE JACKSON『Don't Take It Personal』 Arista/ソニー(1989)

揃ってホイットニーのデビューに尽力した男同士の遅すぎた合体? 新たな顔役として台頭していたサーフィスの作風がアルバム全体のムードを支配するなか、カシーフは2曲を制作。瀟洒なミディアム“I'd Like To Get To Know You”は流石の手捌きで酔わせるものの、これもサーフィスのバーナード・ジャクソンが書いた曲だったり、結果的に世代交代は明白なものに。別曲ではララがデュエット参加。*出嶌

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