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第43回――カシーフの世界

80年代版ケリ・ヒルソン(?)、ララのアルバムもリイシュー!

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/03/23   19:00
更新
2010/03/23   19:18
ソース
bounce 318号 (2010年2月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

シンガー・ソングライターのララことラフォレスト・コープは、カシーフの躍進を語るうえで欠かせないブレーンのひとりだろう。NY出身の彼女は幼少期にピアノを始め、音楽芸術高校からジュリアードに進学して正規の音楽教育を受けてきた、例えばアリシア・キーズにも通じる出自の持ち主である。並行してミック・マーフィ(後にシステム)らと結成したジャック・サス・バンド~サスでデビューを果たし、一方ではチェンジの作品やジャクソンズのライヴに参加しながら各方面に自作曲を売り込むなど、彼女は早くからキャリア開拓に積極的だった。その最中で出会ったのがカシーフだったのだ。

彼のデビュー作『Kashif』(83年)で“Stone Love”を共作したララは、グレン・ジョーンズに提供した“Show Me”(84年)の大ヒットで脚光を浴び、カシーフ絡みの作品群を中心に手腕を発揮していく。そのピークこそ、彼女が単独で書いたホイットニー・ヒューストンの名曲“You Give Good Love”であろう。その特大ヒット以降、ステファニー・ミルズの“Secret Lady”(87年)などでプロデューサーとして活躍する機会も増え、大きな期待を集めて登場したのが今回リイシューされたソロ・デビュー作『La La』(87年)だ。カシーフ軍団はもちろん、M&Mやフル・フォースらがプロダクション面を支えた同作は、急激にモードを変えた時流に乗れなかった部分こそあれ、歌い手としての彼女にフォーカスした力作には違いない。なお、モータウンから2作目『La La Means I Love You!』(91年)を出して以降の彼女はゆるやかにフェイドアウトしていくが、ソングライター出身アーティストの先駆者としての才能の輝きは不変だ。

 

▼ララが裏方として関わった作品を一部紹介。

左から、グレン・ジョーンズのベスト盤『Best Of Glenn Jones』(Jive)、ステファニー・ミルズのベスト盤『Gold』(Universal)

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