〈史上最大のロック・コンサート〉から20年、ボブ・ゲルドフたちはふたたび音楽の力を証明するか?
エチオピアの飢餓救済を目的とした史上最大のチャリティー・コンサート〈Live Aid〉から20年。その発起人だったボブ・ゲルドフらが5月31日に会見を行い、7月2日に世界5都市でふたたび大規模な慈善コンサートを開催すると発表した。これは7月8日よりスコットランドで開かれるサミットに合わせて、アフリカの貧困根絶を呼びかけることが目的。サミット参加の8か国にちなんで〈Live 8〉と名付けられ、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、フィラデルフィアの5都市で開催される予定となっている。(編注:後日、東京、ヨハネスブルグ、バリーでの開催も決定した)
そもそもオリジナルの〈Live Aid〉は、飢餓に苦しむエチオピアの惨状を知ったゲルドフが84年に立ち上げた〈Band Aid〉に端を発する。同プロジェクトはUKのトップ・アーティスト40名近くが無償で参加したチャリティー・シングル“Do They Know It's Christmas?”(2004年に〈Band Aid 20〉としてリメイク)に結実し、翌85年には〈USA For Africa〉による“We Are The World”へと飛び火。そして同じく85年の7月13日から開催されたのが〈Live Aid〉だったというわけだ。ロンドン(ウェンブリー・スタジアム)とフィリー(JFKスタジアム)の2会場でスタートした〈Live Aid〉は世界84か国で生中継され、最終的には140か国で合計20億人が体験したとされる。クイーン、ポール・マッカートニー、ボブ・ディラン、スティング、U2、デヴィッド・ボウイ、エリック・クラプトン、フィル・コリンズ、ミック・ジャガーらが参加し、ザ・フーやレッド・ツェッペリンの復活も話題を呼んだ。数あるチャリティー・イヴェントと〈Live Aid〉が一線を画していたのは、不透明な金銭の流れを廃し、義援金の使途や救援物資の行方をあきらかにしてきた部分にある。〈Band Aid〉はおよそ800万ポンド(約27億円)、〈Live Aid〉は1億4,000万ドル(約350億円)を集めたが、こうした収益の運用についてはその後も細かく報告されていった。〈偽善〉と揶揄されることも多かったゲルドフたちだが、その意識の高さと透明性のある運営は素直に賞されるべきものだったし、今回もクリーンな運営が期待されるところだ。現時点での出演予定者は以下のとおり。
■ロンドン
ボブ・ゲルドフ、マライア・キャリー、マドンナ、コールドプレイ、ダイド、キーン、エルトン・ジョン、シザー・シスターズ、ポール・マッカートニー、ジョス・ストーン、スティング、ロビー・ウィリアムス、U2、ヴェルヴェット・リヴォルヴァー、キラーズ、REM他
■フィラデルフィア
ウィル・スミス、マルーン5、ジェイ・Z、P・ディディ、スティーヴィー・ワンダー、ボン・ジョヴィ、デイヴ・マシューズ・バンド、ロブ・トーマス、50セント、カイザー・チーフス他
■パリ
ジャミロクワイ、クレイグ・デヴィッド、ユッスー・ンドゥール、ヤニック・ノア、アンドレア・ボチェッリ、プラシーボ、マヌー・チャオ、ルノー他
■ベルリン
A-ha、クロスビー・スティルス&ナッシュ、ブライアン・ウィルソン、ローリン・ヒル他
■ローマ
デュラン・デュラン、フェイス・ヒル、ティム・マッグロウ、ローラ・パウジーニ、ズッケロ他
再結成スパイス・ガールズ出演の噂があったり、特にロンドン会場で白人アーティストが多くを占めるラインナップに批判の声が多いこともあり、顔ぶれには直前まで調整が行われる模様。なお、同じく20周年を迎えた“We Are The World”もクインシー・ジョーンズとジャーメイン・デュプリによってリメイクが進んでいるようだ。







