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インタビュー

みうらじゅん&いとうせいこう

祝!10周年 仏になるまで二人の〈見仏〉の旅は続く

〈仏〉を〈見る〉と書いて〈見仏〉。無二の〈仏友〉、みうらじゅんといとうせいこうが様々なお寺を〈見仏〉して歩くTV番組『TV見仏記』(関西テレビで毎週水曜深夜1:58〜放送中)が10周年を迎え、スペシャル編として制作されたのが『新TV見仏記3京都編』と『新TV見仏記4奈良・斑鳩編』だ。今回も美仏・秘仏をめぐる二人の絶妙なトークをたっぷり楽しむことができるが、いま二人の間でブームになっているのが法然上人と善導大師だとか。

「今回は法然&善導の旅でしたね。善導大師の像って、下半身が金色のグラデーションになってるんですよ。だんだん、仏になってるという表現でね。わかりやすいんですよね。なんとも言えない人間くささとミラクルなもののプラクティカルな表現の仕方にやられちゃった」(いとうせいこう)

「もとは絵で描かれていた表現なんだけど、それを立体化しちゃった。いってみれば特撮なんだよね(笑)。そこにもぐっとくるんです。法然と善導の像って、大抵並んでいるんですけど、年代的にはすごく離れていて、コンビっていってもエンタツと松本人志ぐらいなひらきがあるんですよ、いや、もっとですけど(笑)。それが並んでいるのもすごい」(みうらじゅん)

そのいっぽうで、お寺のギフトショップで、竜灯鬼グッズを買いあさる二人の姿も。でも、〈仏欲〉、じゃなくて〈物欲〉にまみれながらも、仏像への興味は尽きることはない。

「ギフトショップは時間とるからね、俺達(笑)。竜灯鬼より天灯鬼のほうが有名なんですけど、俺達は竜灯鬼のフンドシにやられちゃったんです。邪鬼で下層階級の格好をしてるんだけど、フンドシ姿にゲイパワーを感じちゃって」(みうら)

「天灯鬼は動物の皮を腰に巻いているのにね。だから、もしかしたら、なにかフンドシ信仰があったんじゃないかと思い始めて。こっちも素人民俗学者みたいなところがあるから」(いとう)

「二人の意見が合ったら、もうそこで新しい学説が決定しちゃう(笑)」(みうら)

例えば、京都編で出てきた福田寺の龍神。雨乞いの神様として奉られている龍神像の手の部分だけ、あとで作り直されていることに二人は注目。こんな学説を生み出した。

「龍神は竜灯鬼と同じ系譜だと思うんだけど、ほんとは手を縛られていたんじゃないかな。縛られて雨乞いをさせられていた。鬼を泣かせると雨が降る、みたいなことがあるんじゃないかと思うんだよ」(みうら)

「みうらさん、そのSM説を強く推すよね(笑)」(いとう)

「仏像って、ちょっとそういうセクシャルなエネルギーがあるから(笑)」(みうら)

なんて具合に妄想も楽しんでこその〈見仏〉。二人のトークにあわせて、一緒に〈仏仏(ブツブツ)〉言いながら日本の文化を気軽に楽しもう。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2011年05月10日 19:46

更新: 2011年05月10日 20:31

ソース: intoxicate vol.91 (2011年4月20日発行)

interview & text : 村尾泰郎