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インタビュー

Justin Adams & Juldeh Camara

photo:Shinya Matsuyama

去る10月に行われた〈ワールド・ビート2010〉は、もちろんスタッフ・ベンダ・ビリリが目玉だったわけだが、しかし僕の周りでは、ビリリに劣らず、ジャスティン・アダムズ&ジュルデー・カマラへの賞賛の声が多かった。当然だろう。パーカッショニストを加えたトリオ編成による彼らのパフォーマンスは、西アフリカのフラニ人の伝統音楽のスタイルを基軸にしつつも、ジャスティンが探求してきたブルースの真髄をも見事に抉り出すスリリングなものだった。

二人のコラボのきっかけは、ジャスティンのソロ・デビュー・アルバム『デザート・ロード』(2000年)に感銘を受けたジュルデーがいきなり電話でジャスティンに共演を申し込んだことだったという。

「西欧の音楽家がアフリカなどに行って、現地の音楽家を連れて来て共演するってのは既によくあることだったけど、逆に、あちら側にイニシアティヴがあるコラボレイションはまだあまりなく、面白いと思ったんだ」

電話口でジュルデーが弾くリティ(ガンビアの伝統楽器である1弦フィドル)を聴いて共演を即決したジャスティンは、コラボを始めた頃のことを、こう振り返る。

「僕は元々、アフリカやアラブの音楽とアメリカ生まれのブルースなどを融合して新しい音楽を作りたいと思ってきたわけだが、ジュルデーの音楽には、そういったものがすべて包括されていたし、ロックンロール的要素もあった。そして彼の音楽は、構造がちょっと違っており、小節分割とか和声からは解放されている。そこに、新しい可能性を感じたんだ」

そして制作された2枚のアルバム『ソウル・サイエンス』と『ウソ偽りなし』は、ご存知のとおり、欧米のワールド・ミュージック・シーンで大変な喝采を浴びた。

「1枚目は、シンプルに、エキサイティングな出会いのアルバムだったと思う。新たな冒険、新たな世界への出発だった。その後1年半のツアーを経て、僕らの進むべき方向性がより明確に見えたし、様々な音楽的実験の繰り返しの中でできあがったのが、2枚目だと思う」

2作品について、ジャスティンはこう説明するわけだが、そういった実験を支え、後押ししていたのが、ジャー・ウォブルのインヴェイダーズ・オブ・ザ・ハートやロバート・プラントのストレィンジ・センセイションズでのギタリストとしての十分なキャリア、あるいは、ティナリウェンのプロデュース・ワークなどであることは、言うまでもない。

最近は二人のこのユニットに、ロバート・プラントがヴォーカリストとして参加することもしばしばだ。なんでも、ロバートが彼らをいたく気に入っているらしい。

「実際、ロバートはこのバンドに入りたがっているんだよ。彼は自由なセッション風のライヴが大好きだし。将来的に、このユニットで日本にも来るかもしれないよ」

CD制作も含め、可能性は大と見た。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2011年01月18日 17:04

更新: 2011年01月18日 17:31

ソース: intoxicate vol.89 (2010年12月20日発行)

interview & text : 松山晋也