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インタビュー

Dave Koz

豪華メンバー勢ぞろい、〈あした〉のスムース・ジャズ!

スムース・ジャズ界の最高の〈エンターテイナー〉系サックス奏者、デイヴ・コーズ。なぜそんな形容なのかというと彼のステージを見た人なら納得だろう。パフォーマンス性たっぷりのステージは通常のスムース・ジャズ系サックス奏者のそれとは一線を画し、見所満載だ。

「若い頃いろいろコンサートを見た中で、特にアース・ウィンド&ファイアのショー的なエンタテインメント性の高いステージに圧倒されたんだ。それが原点になって自分でもそういうライヴを心がけているよ。見に来てくれたお客さんに楽しんで欲しいという気持ちもこめてね」

今回の新作『ハロー・トゥモロウ』はそんな彼の音楽性が十分反映されたもので、ソロ・デビュー20周年、【コンコード・ジャズ】への移籍第一弾となった。豪華なゲスト陣には誰もがわが目を疑う。リー・リトナー、ハーブ・アルパート、マーカス・ミラー(プロデューサー兼任)、ボニー・ジェイムス、ケブ・モ、ジェフ・ローバー、シーラE、レイ・パーカー・ジュニアなどなど。

「完成したアルバムのクレジットを見てこの豪華メンバーに自分でも驚いたぐらいだった。新しいレーベルでの最初のアルバムだし、7年ぶりのオリジナル・アルバムということだしね。そんな自分のエネルギーを感じて、これほど豪華なミュージシャンが集まってきてくれたんじゃないかなと思うよ。レコーディングでは初共演になった人ばかりで、マーカス・ミラーは僕にとっても憧れの存在だった。スタジオでは僕自身の中の新しい部分をゆっくりプッシュして引っ張り出してくれるところは凄いなと思ったね」

メロウあり、ファンキーあり、多彩なデイヴ・コーズの魅力が引き出されたインスト曲は上記のメンバーらとのセッションで全曲パーフェクト。その中に混じり、2曲のヴォーカル曲がアルバムのキーになっている。

「かつてハーブ・アルパートが歌ってヒットした《ディス・ガイズ・イン・ラヴ・ウィズ・ユー》を僕がサックスではなく、ヴォーカルでカヴァーした。元々ハーブもヴォーカリストでないのに自分で歌ったしね。完成したトラックをハーブに聴かせたら、気に入ってくれて『自分も参加できないかな?』ってことになってトランペットを吹いてくれた。もう一曲、女性シンガー・ソングライターで僕の友人でもあるダナ・グローヴァーが歌っている《スタート・オール・オーヴァー・アゲイン》は彼女から5年前ぐらいに聴かせてもらっていた曲で、今回のアルバムのアイデアを集めていた時にiTunesで曲をシャッフルして聴いていて再び耳にして「これだ!」と思ったんだ。彼女に聞けばまだレコーディングをしていないというし、歌詞の中にアルバム・タイトルの〈ハロー・トゥモロウ〉という言葉もあって、そういう意味では今回アルバムではこの曲が木の幹で他の曲は枝という感じになっているんだ」

デイヴ・コーズの新たなキャリアへ向けてのチャレンジが感じられ、その意欲も存分に伝わってくる快作だ。

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2011年01月12日 13:23

更新: 2011年01月12日 13:28

ソース: intoxicate vol.89 (2010年12月20日発行)

interview & text : 馬場雅之(タワーレコード本社)