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インタビュー

小松亮太

東京タンゴ・カフェで魅せる、小松亮太の最新作!

自身のユニットを率いて多数の公演をこなし、幅広く活躍しているバンドネオン奏者の小松亮太が、通算15枚目のCD『小さな喫茶店〜東京タンゴ・カフェ』を発表。

「コンセプトは短く・小さく・かわいくということで、カフェ・ミュージックとしてのタンゴを入れました。音楽の核心部分を抽出し、知り得る限りの最高のアレンジと最高の演奏で収録。今までは重厚なタンゴ・アルバムを作ってきました。それはそれで我ながらよくやり遂げたなという思いですが、今回はタンゴを知らない人にも聴いてもらえるものを作りたかった。作り手が自分の心に響く曲を選んで気軽に作ったものは、リスナーも気軽に懐かしんだり、楽しんだりしてもらえると思います。ジャケ買いもしてもらえたら…(笑)」

アルバム自体を東京下町の喫茶店に見立て、彼自身がマスターとして接客。クセの強そうなマスターだが、タンゴ・ファンやシニア世代はもちろん、タンゴを知り始めた人も、有名曲とタンゴ道精神でもてなしてくれる。

「《アディオス・ノニーノ》の録音は3度目で、全て違うアレンジです。今回のピアノとベースとバンドネオンによる版はライブで演っていますが、録音は初めてです。思い入れが深い曲は、フランスのシャンソン風タンゴ《小雨降る径》です。ティノ・ロッシの歌で大ヒットしましたが、今回は歌姫Shantiにフランス語の歌詞を歌ってもらいました。アレンジは僕の父、小松勝ですが、アレンジもShantiの美しいフランス語も大成功でした。《月下の蘭》は、ユーマンスが映画のテーマ曲として作ったアメリカ製タンゴですが、ピアソラのアレンジは見事です。《最後のコーヒー》は、昭和のタンゴ・ブームを支えたオルケスタ・ティピカ東京のコンサート・マスター志賀清さんと、世代を超えたデュオで収録。苦労したのは《ミリニャーケ》。これぞカフェ・タンゴという趣の、かわいらしいミロンガですが、こうした昔の曲は、時代の空気感が違うので、現代人が演るのは難しい。昔の録音を何度も聴いて想像しながら録りました」

《小さな喫茶店》《小雨降る径》のアレンジは、小松亮太の父、勝が提供。その2曲と《タンゲーラ》には、ピアニストの母、真知子が参加している。 知られざる曲を録音・演奏してきたことが評価されたいま、有名曲に頼らず、音楽そのもので認められることを夢見ながら頑張ってきた自身への褒美、周囲への感謝という意味あいを含め、昨年タンゴ・スタンダード集を発表。今作の60%はその続編だが、TVや映画のテーマ曲など、作・編曲家の小松亮太の個性も存分に魅せる。

「バンドネオンが僕に与えたのは恵まれた音楽人生!やる人が少ないなか手探りで進む僕を、周りが盛りたててくれる、感謝しなければと思っています。恐らく世界で一番恵まれているバンドネオン弾きです。だからこそ、良いものを発信し続けていくことに責任を感じています」

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年11月12日 20:41

更新: 2010年11月12日 20:47

ソース: intoxicate vol.88 (2010年10月10日発行)

interview & text : 横堀朱美