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インタビュー

LANG LANG

〈make.believe〉の名の下に、クラシックの未来を担う。

映画版で〈のだめ〉の演奏役を完璧にこなして日本での大衆的な人気を決定づけ、お茶の間への露出も少なくないラン・ラン。お茶の間の人気のみならず、彼が国家元首クラスからも演奏を熱望される、現代クラシック界最重要スター・ピアニストのひとりであることは言うまでもない。先頃も、ウィーン楽友協会の耳の肥えた聴衆を熱狂させたライヴ盤(2010年2月収録)をリリースし、世界中を魅了したばかり。「特にベートーヴェンのソナタを、彼のキャリアが築かれたウィーンの地で演奏したかったんだ。第3番はモーツァルトやハイドンに傾倒していた彼が、初めてアイデンティティを確立した記念すべき作品で、第23番〈熱情〉は指揮者における交響曲第5番と同じ意味合いで、ピアニストにとって中核的なレパートリー。この2つの組み合わせがベストだと思って選んだ」

今回のアルバムはソニー・クラシカル移籍第1弾。既にソニー本体とは2008年よりスポンサーシップ契約を結び、ブランド・イメージの顔として活躍している。「これで演奏家として、レーベル・サイドからもソニーの一員になれたことを嬉しく思うし、相乗効果に期待している。常にチャレンジ精神でテクノロジーの世界に新しい流れを作り出している企業と、一緒に組んで音楽活動ができるなんて最高に恵まれているよね」

本ライヴは映像フォーマットでもリリースされており、特にblu-ray盤にはボーナス・コンテンツとして、3D映像(※クラシックの演奏としては世界初!)が演奏曲から抜粋して別収録されているのが大きな話題を呼んでいる。「僕自身も、グールドやホロヴィッツの演奏をLDやDVDによって体験できて、そこから学べた。今やアフリカに住む子供たちとSkypeでマスタークラスができる時代なんだから、未来に繋がるレコーディングに挑戦するのは演奏家の必然だよ。音楽そのものは、どんな技術を使っていようとも不変だからね。変わらなきゃいけないのは、どうやってそれをリスナーに届けるか。21世紀らしい手法があるはずだよ、特に若い世代に向けては」

来年2月には日本でリサイタルも決定。『ライヴ・イン・ウィーン』の曲目を踏襲したプログラムAも楽しみだが、バッハ/シューベルト/ショパン…と揃ったBの方も期待が高まる。「ショパンと言えば、ポーランド政府が製作した『The Flying Machine』という3D映画に音楽監督として参加した。僕自身も登場してエチュードを演奏しているからお楽しみに。アニメと実写を融合したファミリー向けの冒険映画で…ピアノが空を飛ぶんだ!」

ユニセフ国際親善大使を務める等、子供達や音楽家の卵を教育・経済的に支援する活動も積極的に展開中。携帯音楽プレーヤー(もちろんウォークマン)とノイズキャンセリングヘッドホンを手に世界中を飛び回る超多忙なアーティストだ。「happy lifeの追求が僕のスタイル。そのためにも常に未知の世界に対して目を開いていたい」

『ラン・ラン 日本リサイタル・ツアー』
2011年2/10(木)13(日) 東京・サントリーホール
http://www.kajimotomusic.com/concert/index.php?year=2011&month=2#ja
2/15(火)愛知県芸術劇場
2/19(土)兵庫芸術文化センター
http://www.langlang.com/ja/calendar

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年11月08日 12:21

更新: 2010年11月10日 15:46

ソース: intoxicate vol.88 (2010年10月10日発行)

interview & text : 東端哲也