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インタビュー

TSUKEMEN

音楽の森へのエスコート―インストユニットTSUKEMENの挑戦

なにはともあれ〈TSUKEMEN〉である。ユニット名の由来は?「かっこいい名前にはしたくないというのが最初にありました。そういうのは自分たちに合わないんじゃないか。もし〈東方神起〉とかになっちゃったら大変なことになるなと(笑)」(SUGURU)。そしてメンバーの家族に「お前らラーメン、つけメン、僕イケメンのつけメンくらいでちょうどいいんじゃねえか」と言われたことがきっかけに。始めは(仮)のつもりでいたのが、いつの間にか〈TSUKEMEN〉になっていた。ちなみに、メンバーの三人の頭文字にもなっていると言う。彼らはまず謙虚に、クールさよりも親しみやすさを取ったのだ。

音大生だったヴァイオリンのTAIRIKUとピアノのSUGURUに、タイプの違うもう一本のヴァイオリンのKENTAが加わり、今の編成になった。コンサートでは、三人ともマイクを持ってMCを担当する。「席についてクラシックっぽい音が流れてくるだけで、お客さんは初めから緊張しているんです。やっぱり構えて聴いちゃう。その緊張をほぐして欲しいし、そのためにも僕たちから話しかけてみる」(KENTA)。演奏同様、三人のキャラクターもまた魅力的だ。ちょっと天然なSUGURUと、クールなKENTA、とにかくアツいTAIRIKU。この三人が話し出すだけで、客席の温度もぐっと上がる。そこに「よりたくさんの人に喜んでもらいたい」(KENTA)という彼らのプロ意識が垣間見える。

3月24日に発売されたデビューアルバム『BASARA』は、日本の南北朝時代の言葉で「古いものを壊し、新しいものを創り出す」という意味だ。その一語に〈TSUKEMEN〉の本質が凝縮されている。伸びやかで遊び心溢れる楽曲群。アニメ、クラシック、映画音楽などを貪欲に取り入れる柔軟性。彼らは新世代の雑食的な感性と、クラシカルな素養を兼ね備えている。MCでSUGURUが「クラシックの紀尾井ホールで敢えてアニメの曲がやりたかった」と語るように、彼らには堅苦しいクラシックという狭いイメージをぶち壊し、もっと素直にいい音楽を届けたいという思いがある。そう、彼らはなによりもまずリスナーたちの入り口になろうとする。

〈TSUKEMEN〉という馴染みやすい名前とキャラクターを持った彼らから、クラシック音楽やアニメ音楽の魅力に気づいていく人も多いだろう。「正直期待値は低いでしょ? でも実際聴いたらどう?すごいでしょ?って言えるような音楽をやりたい。それが僕らのプライド」(KENTA)。〈TSUKEMEN〉は音楽の森の入り口であり、エスコートしてくれる案内人でもある。だからみなさん、安心して、〈TSUKEMEN〉のコンサートに足を運んで欲しい。そして彼らが全身全霊で奏でる、より深い森の中に迷い込んで欲しい。

『TSUKEMEN LIVE 2010〜BASARA〜』

6/11(金)静岡・焼津市大井川文化会館ミュージコ
6/18(金)千葉・京葉銀行文化プラザ音楽ホール
6/19(土)大阪・ザ・フェニックスホール
6/20(日)山口・下関市・菊川ふれあい会館アブニール
6/25(金)横浜みなとみらいホール小ホール
http://www.tsukemen3.jp

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年05月13日 20:22

更新: 2010年05月13日 20:41

interview & text : 山本拓