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インタビュー

おとぎ話 『FAIRYTALE』

どこにも属せない異物感を武器に、個性を全解放! とうとう本領を発揮したオルタナ精神で、世界にひとつだけの花を咲かせる!

 

 

人懐っこいメロディーと誠実で情熱的な言葉――世界観のそこかしこにレイドバックした空気感を漂わせながらも90'sオルタナティヴ・ロック直系、ロック好きリスナーを十二分にサティスファイさせる熱気に満ちたサウンドを聴かせる4人組、おとぎ話。その〈奇妙なバランス〉の上に成り立っている彼らの音楽はあきらかな〈異物感〉を放ちながら、確実にその存在を確かなものにしている。

「〈異物感〉って言っていただけて感無量です(笑)。でもまあ去年ぐらいまでの話をすると、どこかに属したくてしょうがなかったんですよね。コミュニティーとして盛り上がっているようなシーンに。でも、そういうアクションを起こしたことによってむしろ孤立感が浮き彫りになったというか。〈どこかに属するようなものを〉と思って曲を作ってみたりもしたんだけど、書こうと思ってもやっぱり書けないんですよね。で、お世話になっているライヴハウスの店長に、〈みんなは肩組んで盛り上がってますわあ〉みたいなことを羨ましげに話したら、〈オマエ何言ってんの? それってオンリーワンってことじゃんか!〉って。そう言われてちょっと嬉しくってね。いままで自分が思っていたことをもっともっと解放して音楽を作っていこうって改めて思ったんですよ」(有馬和樹、ヴォーカル/ギター:以下同)。

そして完成したニュー・アルバム『FAIRYTALE』。有馬の〈確信〉のもと、冒頭で述べたバンドのチャームをより究め、これまでの諸作に比べてどことなくしっとりと、かつドッシリとした印象を与えるサウンドに包まれている。例えて言うならビートルズの『Rubber Soul』か? サウンド全体のアグレッシヴさを増幅させる、といったような方法論とは異なる形で、よりロック感を打ち出している。

「その通りなんですよ。曲自体はキラキラしているんで、全体のトーンを重くすることは命題だったんです。ピクシーズの『Surfer Rosa』と『Doolittle』の間にあるようなアルバムで、ドラムの鳴りはスティーヴ・アルビニが作ったような音にしたいなっていう。あと、歌はより泣けるような感じというか。音は違うけど、感覚的にはヴァンパイア・ウィークエンドとか聴いた時に近いかも知れないですね。あれって〈アンチ・ロック〉じゃないですか。だけど、すごくロックに聴こえるっていう。何か〈壊したい〉っていうんですかね、概念を。インディペンデントで、右にも左にも行けるバンドで、オルタナティヴな精神があるバンド――オレらがいちばんやりたいところはそこなので、そういう気持ちで作ったアルバムです」。

 

▼おとぎ話の作品を紹介。

左から、2007年作『SALE!』、2008年作『理由なき反抗』、2009年のEP『青春GALAXY ep.』(すべてUKプロジェクト)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年01月20日 18:05

更新: 2010年02月10日 19:01

ソース: bounce 317号 (2009年12月25日発行)

文・インタヴュー/久保田泰平

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