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インタビュー

三宅 純



『Lost Memory Theare』は、音楽と心象風景の間で「第三の生命」を絶え間なく生み続ける、真に個性的な作品です。ひとたびこの劇場に入ると、あなたはもう中毒症状を起こしてしまっているに違いありません」    ──── ヴィム・ヴェンダース




まるでフェリーニや寺山修司の映画を観ているような……そこは“記憶が流れ込む劇場”

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© Jean-Paul Goude

いつかどこかで聴いたことのある、記憶の中の音楽。聴き始めた瞬間からそんな思いに捕らわれてしまった。そして、その感覚は聴き進めるごとに強くなっていく。まるで、脳の奥の襞ひとつひとつを、白日の下にさらされていくかのよう。忘れてしまった記憶、もしくは忘れてしまいたい記憶まで、すべてが。

三宅純のニュー・アルバム『Lost Memory Theatre - act-1 -』には、まるでフェリーニや寺山修司の映画を観ているかのような、時空を歪曲させてしまうマジカルな何かが宿っている。“記憶が流れ込む劇場”という作品のコンセプトを知らなかったとしても、おそらく同じような感覚に陥る人は多いだろう。三宅はなぜ、こんなにまで人の心をかき乱すアルバムを作ろうとしたのだろうか。

「アイデア自体は、10年以上前から温めていたものです。誰にでも“特定の場所と強く結びついている記憶”がありますが、自分はそれを失う経験をたくさんしたので、そんな劇場が実際にあったらいいなと思ったのです。10代でアメリカに渡り、5年後に帰国した時に無くなってしまった風景に愕然としました。そうでなくても、日本は他の国よりもずっと、短い周期で建造物を建て替えてしまいます。そんなこともこの“劇場”を思いついたきっかけでした」



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2014年01月21日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview & text : 栗本斉(旅とリズム)