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インタビュー

Perfume 『LEVEL3』



日本にはPerfumeがいる。世界へと漕ぎ出して熱狂を体感した3人が、2年ぶりのアルバムに持ち帰った気持ちとは? そしてレヴェルアップした3人が世に問う『LEVEL3』の意味とは?



Perfume_A



この夏ドイツ、イギリス、フランスを回る本格的ツアーを敢行し、他のどこにもない新しい文化として熱狂的な評価を得たPerfume。言葉の壁さえ易々と越えてしまう音楽というものの魅力に、彼女たち自身もますますとりつかれたはず。そんな新たな段階にきたPerfumeの今が感じられるニュー・アルバム『LEVEL3』が完成した。



自分たちに段階があるとしたら

——アルバム制作に向けて、Perfumeから出したリクエストはありましたか?

大本彩乃(のっち)「はい。年末にドームライブを計画していることを中田さんにお話して、〈ライヴ映えのする曲がほしいんです〉と伝えました」

——タイトルが決まったのは?

樫野有香(かしゆか)「最初のミーティングのときからみんなで出そう、出そうとしてたけど、ピンとくるものがなくて、その後もレコーディングのたびに話してはいたんですけど」

のっち「全然出てこなくて、結局、最終レコーディングの日に持ち越しました」

かしゆか「スタジオをウロウロしながら思案中だった中田さんが、〈『LEVEL3』は?〉と言った瞬間、みんなが〈いいね!〉って」

のっち「出た!と思って、なんかドキドキしましたね」

——どんな意味合いに捉えましたか?

西脇綾香(あ〜ちゃん)「自分たちに段階があるとしたら、『LEVEL3』くらいはいってたいなと。〈まだまだいけますよ。だって私たちまだ『LEVEL3』くらいですもん〉っていう、そんな感じに捉えてるんです」

——ツアーでアジアやヨーロッパを周ったことは、レヴェルアップにつながりましたか?

かしゆか「〈好き〉という気持ちが言葉の壁さえ越えてしまう。それを体感できたことは大きかったです」

のっち「海外での一体感が、日本で感じていたものといっしょだったということにグッときましたね。ああ、全部つながってるんだと」

あ〜ちゃん「音楽ってやっぱりスゴい! こんなに愛してくれる人がいてくれるなら、カッコいいと思えるものを、もっと世界に伝えていきたいと思いました。今、何よりうれしいのは、日本の人たちに〈アルバムがやっと出来ました!〉と言えることなんです」

——変わらないこともあると?

かしゆか「環境が変わっても、この3人と中田さんの関係は変わらない。そこがすごく重要なことだと思ってるんです。中田さんおっしゃってたんですよ。〈ずっといっしょにやってる強みは、全力だけじゃなく、変化球が出せること。その遊びがおもしろいんだ〉って」



曲順通りに、飛ばさずに

——なるほど。リード曲“1mm”にはそういった〈遊び〉を感じました。けっして華やかなタイプの曲じゃないんですよね。

あ〜ちゃん「そうなんです。淡々としてて」

のっち「背中を押す曲ではあるんですけど、けっして真っ直ぐには押してくれない。現実の難しさを突きつけられるような曲です」

あ〜ちゃん「脈絡なくポンポン言葉が連なっているところに、現実を抜け出せない自分の歯がゆさみたいな心情が現われてるなと」

かしゆか「実はみんなリスクと戦いながら生きているんだよ、ということを歌っているような気がします」

——キビしい曲ですよね。

あ〜ちゃん「結局“1mm”がリード曲になったけど、実は私たちもスタッフも押し曲に関してはすごく悩んだんです。アルバム・タイトルを決めて、そこに向かって制作していったわけじゃないので、なかなか一つに絞りきれなかった。でも、それも含めてこれが今のPerfumeのオリジナル・アルバム。なんならタイトルは『オリジナル・アルバム』でもいいんです。それくらい、固定イメージなんてなくていいという気持ちになってます」

——打ち出さなくとも伝わる存在感がすでにある。その段階が『LEVEL3』なのかもしれませんね。

あ〜ちゃん「ああ、そうなのかも!」

——ジャケットも凝っていて素敵です。今回は海外でも現地盤が出るそうですね。

のっち「私自身もそうですけど、盤を持つと思い入れが強くなる。より近くに感じてもらえるんじゃないかなと思ってワクワクします。楽曲のタイトルが、それぞれの国でどう表記されるのかも興味津々だし」

あ〜ちゃん「中田さんもおっしゃってたんですけど、曲順通りに、飛ばさずに、その曲の長さ自体も味わいながらといったアナログ的な聴き方をすることで、見えなかったものが見えてきたり、感じられなかったことが感じられたりすると思うんですね。そこから得たインスピレーションが、何か夢につながっていくのかもしれない。そういう広がり方になっていったらいいなと思います」

——年末の2大ドームツアーも楽しみです。

かしゆか「演出に関わる新しい技術力が加わってきているので、前回東京ドームをやったときとは確実に違ったものになると思います。可能性が増えたぶん、挑戦してみたいこともたくさん出てきてます」

のっち「前回の東京ドームは、よく覚えてないくらいただただ夢中だったけど、今回はそこに立っていることをしっかりと実感しつつハジけたい。ぜひ楽しみにしててください!」



▼サウンド・プロデュースを担当した中田ヤスタカが率いるCAPSULEの、10月23日にリリースされるニュー・アルバム『CAPS LOCK』(unBORDE)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年10月02日 18:01

更新: 2013年10月02日 18:01

ソース: bounce 359号(2013年9月25日発行)

インタヴュー・文/藤井美保