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インタビュー

INTERVIEW(4)――2代目・大槻ケンヂを募集します



2代目・大槻ケンヂを募集します



筋肉少女帯



――オーディエンスに対しては、どんな気持ちを持ってます?

「〈楽しかった。明日も楽しくいこう〉みたいに思ってくれたら嬉しいです。あ、そうだ、最近〈ああ、バンドをやってて良かったな〉って思うことがあって。高校生の女の子から手紙をもらったんですけど、生まれて初めてのロックのライヴが筋肉少女帯だったらしいんです。本で僕のことを知って、YouTubeで筋肉少女帯を見つけたみたいなんだけど、ロックのライヴは怖いと思ってて、友達に手を握ってもらいながらライヴを観てたんだって。とにかく驚きの連続で〈楽しい〉とさえ思わなかったんだけど、家に帰ってからジワジワきて、〈すごい楽しかった〉という気持ちを初めて自覚して。で、〈筋肉少女帯のライヴの感動を、受験勉強にぶつけます〉って(笑)。なんていい子だ(笑)」

――素晴らしい(笑)。

「いまの若い女の子たちはすごくいいですよね。筋肉少女帯のサウンド、歌詞の世界に共鳴して、言ってみたら知的な反応をしてくれるんですよ。〈この言葉はどういうことだろう?〉とかね。最近、サブカル女子みたいなタイプも増えてるじゃない? 〈え、何でそんなこと知ってるの?〉っていう女子。見込みがあるというか、吸収力がハンパない。男の子の場合は、そこまでストレートじゃないことが多いと思うんですよ。性的衝動が元になったルサンチマンがあるから、しょうがないんだけどね。筋肉少女帯に衝撃を受けて、いろんなことを知ったとしても、〈体育会の男に可愛い女の子を取られるのはなぜだ?〉っていう怒りが生じちゃうから、どうしても歪みが出る(笑)」

――わかるような気がします。

「それは悪いことじゃないんだけどね。でさ、彼女でも出来ようもんなら、今度はルサンチマンが消滅して、筋少のことはどこかに置いてきちゃうんだよ(笑)。〈それよりも彼女と水族館に行くほうが大事〉って。ま、それを否定するのは難しいよね」

――ハハハハハ!

「(笑)でも、いまのライヴって、男性のほうが多いんですよね。つまり、戻って来てくれた男性が多いんですよ。女の人は結婚したり、子供を産んだりすると、どうしてもライヴには来づらくなっちゃうから。時間ができても、韓流に行っちゃったりね。大槻ケンヂよりもG-DRAGONさんのほうがそりゃ若いしさ(笑)」

――でも、筋肉少女帯も90年代と変わらないテンションでライヴを続けているわけで。

「筋少のライヴはね、途轍もなくハードなんです。この前、ダイヤモンド☆ユカイさんと話したんだけどさ、ミック・ジャガーを何とかしてほしいよね(笑)。ミックは中音域で歌っていて、ハイトーン絶叫型ではないから、あの年齢まで続けられる理由もわかるんだけどさ。それにしても、マリオネットみたいな動きで、あの年齢で歌って踊ってるわけでしょ? 僕らが〈いやー、ライヴはキツくて……〉なんて言うと、〈ミック・ジャガーはやってるじゃないですか〉みたいなこと言われたりするからね。僕もジムとか行ってますけどね」

――体力作りのために?

「ライヴのためです。ハード・ロックはね、基礎体力がある人がやるもんなんですよ、そもそも。筋肉少女帯は気が付けばハード・ロック路線になってたから、言ってみれば僕は後天的なハード・ロック・シンガーなんです。そのぶん、他の人より2倍、3倍がんばらないと」

――6月22日には、中野サンプラザでデビュー25周年の記念ライヴもありますからね。最後にこの後の筋肉少女帯のヴィジョンについて教えてもらえますか?

「そろそろ海外の人が見つけてくれるような気がするんですよね。〈このバンドのヴォーカリストはアニソンも歌っていて、水木一郎アニキとデュエットしてるらしい、何よりメンバーが上手い!〉って話題になって、ブラジルからライヴのオファーを受けるんだけど、僕が飛行機に乗れないから行けなくて。そのことも噂になって、外国から〈筋肉少女帯のライヴを観に行こう〉っていうツアーが組まれる……ってことになったらおもしろいんじゃないですか(笑)。あとね、僕は筋肉少女帯という、この素晴らしいブランドを残していきたいと思ってるんです」

――おお!

「さっきも言ったけど、バンドをどれだけ続けてても、次の世代が出てきたら〈知らない〉で終わりじゃないですか。これからね、どんどんナチュラル・セレクション、淘汰が始まると思うんです。ビートルズとストーンズは残ると思うけど、忘れ去られてしまう世界的なバンドも出てくるだろうし。そのなかで筋肉少女帯には残ってほしいので、襲名性にしようと思うんですよ。というわけで、2代目・大槻ケンヂを広く募集します。後世に残すべきバンドだもの!」

――ハハハハハ! でも、良いアイデアかも。

「そうでしょ? 女性でもいいし、外国の方でもいいです。今年、就職が決まってない人とかもいいよね。ぜひ、〈歌ってみた〉の映像を送ってください。僕が立派な2代目に育てます(笑)」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2013年05月29日 18:01

更新: 2013年05月29日 18:01

インタヴュー・文/森 朋之