こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

サカナクション(3)

――ちなみに、さっきおっしゃってた遊び心っていうのは、どういうところですか?

江島 いろいろやってるけど、雑踏の音を入れてみたり。自由が丘駅の改札前で、俺がマイク持って、一郎は横でダットのレコーダーとヘッドフォン持って録音して。恥ずかしかった(笑)。でも、ああいうのって、これまでなかったなーって。今回は、ハンドクラップとかも生で録ってて。いろんな曲に入ってるんですけど、4人ヴァージョンとか16人ヴァージョンとか。

山口 江島は結構、生志向あるよね。

江島 楽しいよね。毎回、自分のイメージした素材を見つけるのに時間がかかったりするから、だったら録った方が早いんじゃないか、って。聴いてる側はどっちがいいとかあんまりないと思うんですけど、やってる側としては、サンプリングCDから取りそうな素材を敢えて生でやると、愛着が湧いていいなって思いますね。

――草刈さんの声とか、生サンプリングはほかにもありますよね?

岩寺 “Ame(B)”の途中で雨の音が入ってるんですけど、それも外で録りましたね。大雨の日に。

草刈 夏に1日だけ、ものすごい雷雨の日がありませんでした? たまたまスタジオに何か違う用で行ったときに降り出して、「いまだ!」と思って外に出て。雷が鳴ってないところを探すのが大変だったんですけど(笑)、そういう偶然の音を残せるっていうのが嬉しいし、楽しみでもあるから、そういうところが曲に表れるといいなって思いますね。

岩寺 そのときの空気だったり、感情だったりもする。そういうのが入るのかな?

山口 僕は、生にちょっと飽きてる感じなんですけどね(笑)。ハンドクラップも、生よりもいい素材があれば、そっちを使いたい。逆にそのちゃっちさが好き、っていう風になっちゃってますね。「このハンドクラップの音いいじゃん」と思ったら、「実は生で録ったんだよね~」「やるな、お前!」みたいなのが一番いいですけどね(笑)。そのサンプリングの話もそうですけど、レコーディングのときは自然と役割分担みたいなものが出来てたんですよ。俺は原曲を作ったり詩を書いたりがあったし、岡崎のシンセが追い付いてなかったりしてて、うちでふたりで作業してる時間が多かった。そのぶん、ほかの3人は常にスタジオにいたから、いろいろと自発的にやってくれてたことが多かったですね。雨の音を録っておいてくれたこととか、俺、知らなかったんだけど、聴いてみたらいい音だったし。発見があって、楽しかったですね。

――(岩寺、草刈、江島に向かって)山口さんと岡崎さんのぶんを自分たちでカバーしていこうっていう意識があった?

草刈 一郎くんは時間をかけなきゃならないことがほかにあったし、でも会うたびにポロッと口にするアイディアもあったから、そういう素材になりそうなものは逃さないで録っておこうと。

山口 草刈は、やるって言わないでやってるのがいいんですよね。

草刈 無駄もできますけど、せっかくのアイディアがもったいないですし。

山口 何かあったんだよな。「草刈、めっちゃナイス!」って思ったことが……。

――ぜひ思い出しましょう(笑)。

山口 何だっけな……(考え込む)。

草刈 自分では全然わからない(笑)。

――(結局、山口は思い出せず……)え~、では話を変えましょうか(笑)? 山口さんから見た、岩寺さん像は?

山口 もっちはひねくれてるから、俺がこうしてほしいと思ってることはわかってて、その上を行こうとするんですよ(笑)。たぶん、俺を驚かせたいんですよね(全員笑)。

岩寺 ひねくれ者でいたずらっ子なんで(笑)。

山口 自分で言っちゃった(笑)。

岩寺 デモを作るときも、ちょっとおもしろい部分を加えとく。

山口 それを、俺が否定したときのふてくされた顔がまたね(笑)。たぶん、もっち的には「これ、めっちゃいい」って作ってきた“涙ディライト”のアレンジを、3回ぐらい潰したんですよ。だから結構イライラしてるだろうなって思ってましたけど、それも、もっちだからこそ出来たことかな。付き合いが長いんで。

岩寺 イライラしたらいいものが出来ないなって思ったんで、なるべく冷静を心掛けて。

山口 逆に、俺がずっとイライラしてたからね(笑)。ひと言も発してない日があったり(笑)。

――とは言え、こうして見てると、岩寺さんは山口さんの良き理解者なんだということが伝わってきますね。

山口 ふたりとも声帯を摘出してしゃべれなくなっても、もっちとはたぶん、一緒にいれると思う。

岩寺 (笑)。

山口 もっちの実家は銭湯で、家族風呂っていう個室の風呂があるんですよ。そこは深夜までやってるから、ふたりで入って「がんばろうな」みたいな青い時代もあったりして。ホントに毎日一緒にいた時期もあったしね。もう家族っぽい感じです。俺がキレる直前とか、一番わかってる。来る、来る、って。

岩寺 わかるけど、何もしないで見てる(笑)。どうなんのかな?って。

山口 でも最近、江島も近い感じになってきたな。一回、レコーディング中に大ゲンカしたんですよ。外に出て、お互い言いたいことをひたすら怒鳴り合って。そこからちょっと変わったよね、俺ら。

江島 よくある、ね。

山口 江島と俺は男と男みたいな。もっちは半分女みたいな感じがあるけど(笑)。

岩寺 (苦笑)。

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2009年01月22日 18:00

更新: 2009年01月22日 19:20

文/土田 真弓