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インタビュー

サカナクション(2)

――プレイヤーとしての主張も、今回はうまく折り合いがついてますよね?

山口 制作のときは、メンバー同士の関係性があるんですよ。僕が客観的に4人を見ると、草刈と江島は意外と通じ合える。

――ああ、リズム隊ですしね。

山口 で、岡崎は別にいて、もっちはどっちともうまくやれる。だから、きれいなバランスがとれてる感じがありますね。

岩寺 (岡崎に向かって)ひとりなんだ(笑)。

山口 岡崎は……ひとりだったね(笑)。

岩寺 ずっと自分の殻に閉じこもってた(笑)?

岡崎 殻に閉じこもってるというよりは、周りが見えなくなってた。

岡崎以外の全員 同じようなもんじゃん(笑)!

山口 いっつも俺の隣にいてね、俺が岡崎を怒り始めると、みんなシーンってなる(笑)。

――かなりスパルタな。

山口 岡崎に関しては、今回かなりスパルタだったよね?

岩寺 そうだね。

――その周りが見えない状態から抜け出せたんじゃないか、って思うエピソードはありますか?

岡崎 8月の5日か6日くらいに……。

――ずいぶんと具体的ですね(全員爆笑)。

山口 暗いな(笑)!

岡崎 (笑)。アルバムを作る前にプリプロをやっていて、それも結構タイトなスケジュールだったんです。フェスの日程とかぶってたりとかして。そのプリプロのあいだにシンセのパートを全部やりきれてない状態だったんですけど、“セントレイ”のリズム・トラックを録ってる最中……8月5日か6日ぐらいに、もっちと愛美ちゃんが自分の家に来てくれて、“アドベンチャー”とかのシンセの練り直しを一緒にやってくれたんです。いろいろ話し合って、「こういうのがいい」って決まったら、その夜は興奮して寝れなくて、バーッて一気に作って。結果的にそれは採用にならなかったんですけど、やり切ったことでちょっと視界が晴れた感じ(笑)。「ま、大丈夫。出来る、出来る」って。

山口 そっから先の方が、怒られてる回数多かったけどね(笑)。岡崎には、素晴らしいものがあるんですよ。でも、そこに気づかないで通り過ぎちゃうんです。

岩寺 いいフレーズ弾いてるのに自信を持つのが難しいみたいで、「これでいいんだろうか?」ってどんどん変えて……っていうのをひとりでやってると、(山口が)怒るんです(笑)。

岡崎 「これで終わり」っていうジャッジが難しい。でも周りから「これいいね」って言われたりするなかで、だんだん自分で「これでよかったんだ」って思えるようになった感じがあって。次に作るときは、もう少し自信を持っていけると思います。

――それから、“minnanouta”をほぼひとりで作り上げたという江島さん。

江島 (笑)まあ、一から作ったわけじゃないんですけどね。俺らって、デモ段階でのシフト・チェンジがすごく多いんですよ。今回のアルバムも収録曲は11曲だけど、アレンジ面も含めると30曲ぐらい出来てて。そのボツ曲のなかから、「カッコいいな」「惜しいな」みたいなフレーズを持って来て、ひとつの形にしてる。みんなのいいところを抽出させてもらった感じです。

山口 だから…………リサイクル(全員笑)?

岩寺 いいね(笑)。

江島 セカンドで“マレーシア32”を作ったときは、まずパソコンの勉強からしたんですよね。「ソフトってなんじゃ?」ってところから始まってて(笑)。いろいろとみんなに助けてもらいながら出来たんで、それをふまえてもう一回、こういう曲をやれたっていうのは大きかったですね。

山口 今回、“minnanouta”やってさ、一番わかったことって何?

江島 一番わかったこと?

山口 出会った当初、俺たちが思うダンス・ミュージックの素晴らしさみたいなところと、江島の感覚が一致してなかったと思うんだ、たぶん。

江島 俺、インストで言うと映画音楽的なものしか聴いてなかったからね。今回“minnanouta”でわかったことはいっぱいあるけど(笑)、やっぱ、遊び心がないとダメかな。どうやっても形にはなるんですよね。歌っていう揺るぎないものがないぶん、何をメインにするかっていうのはホントに自由で、その場所によっても変えられる。どれだけ遊んでるかが伝わらないと楽しいものができないんだな、って。

山口 最終的にふたりで構成をいじくったじゃん? あのときに得たものはあった?

江島 よりリスナー目線にならなきゃいけないなって思ったのは、テイクバックのときにどれだけ冷静に聴けるかってところ。どれだけループして、どこで変わったら自分は気持ちよく感じるんだろうっていうのを、ひとりで悶々と作ってるとわかんなくなっちゃうんですよね。

山口 結構前から聴き直さないと直したところがわかりづらいんだけど、江島が最初ひとりで作ってたときは、2小節とか4小節、ちょっと前ぐらいからしか聴き直してなかったから、全体の構成がすごく目まぐるしく……この話とか大丈夫ですか(笑)?

――いいですよ(笑)。

岩寺 1曲って、5分から6分間の体験じゃん? ここは昂揚して、ここで落ち込んで、ここでワーッてもっと昂揚してそのまま突っ切って終わる。そういう流れが、作り手の感情の流れになってる。そこを意識して作れたのかな。

山口 出来てた、出来てた。ただ、展開が早かった。これから楽しめるってところで終わっちゃってたりしてたから、そこをちょっと直したんだけど。でも、ふたりでやったことで、江島に何か身に付いたことがあったらいいなあ、と思って。俺が伝えようとしてたことって、ループの楽しさだから。

江島 共通言語は結構出来てきたかな。

山口 「これ、生っぽい?」とかね(笑)。

江島 これからもっと増えていくと思うけど。音飾に対する共通認識とか。次は絶対もっとやりやすいだろうな、って感じぐらいまではいってる。

山口 次、何やろうね?

江島 ホントね。何でも出来る気がする。

岩寺 エジ(江島)のインストはシリーズ化していったらいいね(笑)。

山口 みんなにいっぱいデモ作ってもらって、いっぱいボツにするから(笑)。

江島 ボツになった素材、毎回20~30曲ぶんもらうから(笑)。

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2009年01月22日 18:00

更新: 2009年01月22日 19:20

文/土田 真弓