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颯爽とスイングする熟成した心地よいグルーヴ。エルマー・ブラス(Elmar Brass)最高傑作

Elmar Brass Trio

前作『ストレート・アヘッド』に続いて、颯爽とスイングするエルマー・ブラスが聴けるアルバムです。今作は初来日コンサート後にレコーディングされ、タイトルの『BRASSABI!』=ブラス+わさび! であり、日本での印象が曲になっているのも楽しい。日本のウイスキーに感激し捧げた3「YAMAZAKI12」(12はブルースの小節数だとか) 、5「B728」はブルースナニワで、7「WASABI」はそのまま「わさび」なのです。

728(何は)ともあれ(失礼)… …1の高速バップナンバーから、息もつかせぬピアノで迫ってきます。そして続く2のさわやかなイントロと明るいグルーヴでたたみ込みをかける… … これは活きのいいアルバムに違いないでしょう。

しかし、しかしです。私この作品の一番はストップしそうなスロー曲、6マンシーニの「ドリームスヴィル」と聴きました。実はエルマー、こうしたテンポで静かにメロディを綴っていくのも非常に巧い。霞がかかったような曲調の中で、見事に曲を組み立てていて、ここがアルバムの頂点だと思っています。

後半の4 曲のスタンダードもピアノファンに心地よい仕上がり。8~10はスイングするトリオに浸れます。ラスト曲「メモリーズ・オブ・ユー」は、ぐっと感情の入った再びのスローナンバー。私はエンディングのピアノの美しさに注目しました。

いろいろなスタイルの曲をキラリとしたピアノで聴かせる、素直に楽しめる一作だと思います。いいですねー、どんどん熟成していってくれ、エルマー。

Text by 神尾 孝弥

Elmar Brass Trio『BRASSABI!』
01. Crazeology
02. A Beautiful Friendship
03. Yamazaki 12
04. Segment
05. B728
06. Dreamsville
07. Wasabi
08. Days of Wine and Roses
09. Stompin' at the Savoy
10. Do Nothing till You Hear from Me
11. Memories of You

Elmar Brass: piano
Martin Gjakonovski: bass
Christian Schoenefeldt: drums

掲載: 2017年12月27日 18:02