UKロック・バンド、プライマル・スクリームの2002年11月にZEPP TOKYOで行われたライヴのベスト・テイクをメンバーが選曲した、プライマル初ライヴ・アルバムとなった本作は『スクリーマデリカ』『バニシング・ポイント』など新旧作品からチョイス。「ミス・ルシファー」「コワルスキ」他、16曲を収録。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
はっきり書いてしまおう。ロックンロール・バンドとしてのプライマル・スクリームの日本での信仰に近い評価は過大だと思う。基本的にロックンロールとは、リズム&ブルースがエレクトロニックに増幅された瞬間に起こるマジックのようなもので、そこにスリルがあるのだ。そうでないものはパワー・ポップであって、ロックンロールとは似て非なるものである。少なくともこの国では多くの人がその点を誤解している。だからスモール・フェイセズの評価が低い。ただし、本作はライヴ盤であることもあって、イギー・ポップやストゥージズを思わせる瞬間があり、それが本作のロックの最上の部分だ。そして、ダビーなパートはそれを上回る瞬間がある。もっとも、彼らがロック・バンドとして一定以上の水準は軽くクリアしていることが前提だから、ロックが足りないと思っている人々は絶対聴くべき。グルーヴは素晴らしいし、演奏も安定しているし。
bounce (C)荏開津 広
タワーレコード(2003年07月号掲載 (P81))