80年代後半のニュー・ジャック・スウィングで頭角を現し、その後、R&B界には必要不可欠となったキース。本作は、やはりお得意の”甘くて濃厚”なスロウたっぷり!!!(7)(8)(9)(12)と息つくヒマもなくジワジワ味わせてくれます。そしてその健在っぷりを表すのにピッタリな(1)や美しい民族調(6)など、貫禄が違います、やはり。 (C)neo
タワーレコード(2002/10/10)
88年のデビュー以来、浮き沈みの激しいR&Bシーンにおいて常に最前線で活躍し続けているキース・スウェット。約2年ぶりとなる今作でなんと8枚目のアルバムとなるわけだが、現代のR&Bアーティストでこれだけのリリースを重ねているシンガーを僕は他に知らない。これだけ安定した活動を続けられるのは、キースが彼独自の美学に貫かれた作品を常に供給し続けてきたからに他ならないだろう。その時代の空気を確実に採り入れつつも、決して媚びることなく自分ならではの世界を作り続ける──その揺るぎない自信に満ちた姿勢にこそキース中毒者たちはしびれるのだ。その意味で本作のハイライトが“One On One”以降のスロウ・ジャムであることは間違いない。ロイ・ハミルトンとの共作によるイマドキのアップが悪いということではなく、やはりキース好きは彼の声でとろけたくて仕方ないのだ。
bounce (C)佐藤達郎
タワーレコード(2002年10月号掲載 (P91))