生音への追求。シンガーソングライターとしての進化と覚悟と現在地。
Ayllton2枚目のEP『愛すべきコワレモノ』は、全5曲収録となっており、Aylltonの等身大サイズの楽曲たちが存分に収録されている。
今作も作詞作曲編曲の全てを手掛けているAylltonが、本人のこだわりとしてサウンド面では全ての曲を生楽器収録、そして共通項としてアコースティックギターを入れ、多面的な表情をそれぞれの楽曲でみせてくれる。
EPの1曲目に収録されている「愛すべきコワレモノ」は、幕開けを飾る表題曲となっており、過ぎ去ったの恋愛と向き合いながら、未完成な自分を受け入れようとする心の葛藤を描いている。
曲中には"芝居のキス"や"痛みを合図に"といった印象的な言葉が、リアルな感情の揺れを鮮やかに映し出す。繰り返す後悔、自己嫌悪の中でも、それでも「愛したい」と願う強さが胸を打つ。人生のピークはまだ途中でこの先にやってくるそう歌う希望が、聴く者の背中をそっと押してくれる楽曲。
そして2曲目に収録されている「思い出はまだ死なない」は、印象的なアコースティックギターとリフレインするピアノのフレーズに体温が宿るカントリーポップス。
傷ついた記憶や後悔さえも"潤滑油"に変え、立ち止まりながらも再び歩き出そうとする前向きで温かい歌詞と、Aylltonの力強い歌声と伸びやかなメロディーラインが物語をまっすぐに響かせる。
3曲目には、「スヌーズ」というミディアムテンポ調の楽曲となり、断続的な朝と忙しない日々の中で、誰かの声に救われながら生きていく姿を描いた一曲。
良いことも悪いことも丸ごと抱えて進もうとする、等身大の肯定が胸に響く。「またあした」という何気ない言葉が、永遠よりも確かな愛の証になることをメッセージとしてゆとりのあるバンドサウンドに乗せ落とし込んでいる。平凡な今日を愛おしく変える、優しさに満ちたライフソング。
続く4曲目の「ダークブルー」は、虚飾を脱ぎ捨て本当の自分と向き合う瞬間を描いたAylltonの独白調でエモーショナルな曲となっている。上京当初の孤独な日々と、言葉にできなかった感謝が静かに込められている。〈ごめんね〉と始まる痛切な自己告白は、弱さではなく覚悟の証だ。深海を想起させる暗くディープなピアノの旋律とアコースティックギターに乗せて、ありのままで生きる勇気を歌う魂のアンセム。
そして、EPラストを飾る「Mr. Compass」は、生まれ育った場所への違和感と祝福、その両方を抱えながら"君"に出会った物語を歌っている。ためらいを打ち砕く無垢な優しさが、孤独よりも強い憧れへと変わっていく。
教科書にも画面越しにも載らない、本物の温度を手渡そうとするまっすぐな想い。「浮いたって良いから 僕がいるから」と歌う、肯定と伴走のアンセム。
Aylltonの現在地をまっすぐに刻んだ全5曲。
繊細さと衝動を併せ持つ楽曲たち、アコースティックの温もりとバンドサウンドの躍動が、有機的に交差するサウンドスケープ。内省的な瞬間と開放的な高揚感が行き交い、作品全体に豊かなコントラストを生み出す。
シンガーソングライターとしての進化と覚悟を提示するマスターピースとなっている。
発売・販売元 提供資料(2026/03/23)