"Thoughts of You"
それは、誰かを想うことで立ち上がる音楽。
2021年にリリースされた前作『RIGHT TIME』は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が設立した「APPLE VINEGAR -Music Award-2022」の大賞を受賞し、その確かな作品性が高く評価されました。
カンテレ・フジテレビ系連続ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」主題歌「Presence」や、timeleszの「Summer Ride」をSTUTSと共作し、さらにSTUTS、YONCE(Suchmos, Hedigan's)とのMirage Collectiveとして同じくカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ「エルピス」主題歌「Mirage」を制作するなど、卓越したソングライティングでお茶の間にまで届く大きなメロディと言葉を紡いできたシンガーソングライター・butaji。そんなbutajiによる2021年以来となるフル・アルバム『Thoughts of You』が完成しました。
偉大なジャズ・ピアニストでありシンガーでもあったNat King Coleが、ポピュラー・ミュージックを彩っていた時代の音楽。その生命の息吹を感じさせながら、そっと寄り添ってくるような豊かなアレンジメントに、butajiは長く魅了されてきました。自身のソングライティングに、そうした響きをまとわせた作品を今の時代に残したい。また、あらゆることが早いスピードで可視化されていく現代に、ゆっくりと味わうことのできる音楽を届けたい。そんな想いを起点に、本作の制作は動き出しました。
その結果、本作には非常に多くの音楽家たちが集い、それぞれの演奏でbutajiの音楽を丁寧にかたちにしています。バンド演奏を軸に、あの時代への憧れを宿しながらも現代的なバンドサウンド、そしてストリングス・アレンジが重なり、体温を感じるシンガー・ソングライター・アルバムが生まれました。50~60年代のポップスやシンガー・ソングライター作品の質感を呼び起こしながら、90年代J-POPも愛してきたbutajiならではのメロディと言葉が、2026年を生きる私たちにひと呼吸の時間と、そっと立ち止まる余白を与えてくれます。
その始まりは、2021年に音楽家・荒井優作とのユニットbutasakuとして手がけた、NHKの実験的ショートドラマ『声がききたい。』までさかのぼります。登場人物はひとり、相手の声は聞こえない――電話で話す姿だけを10分間映し続けるその作品のために、「自分だったらどんな音楽をつけるだろう」とスケッチを重ねて生まれたのが、アルバムの冒頭を飾る「In silence」でした。時代の空気を正直に映し取るなかで、決して明るいものばかりが生まれなかったとしても、それでも誰かを想う気持ちを歌うこの楽曲は、アルバム全体のひとつの指標となっています。この曲と「Lost Souls」には、柴田聡子や優河らの作品で高い評価を受けてきた岡田拓郎がプロデュースで参加し、現代音楽家・香田悠真がストリングス・アレンジを手がけています。さらにほかの4曲では町田匡がストリングスを担当し、楽曲の表情をより豊かなものにしています。
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発売・販売元 提供資料(2026/02/04)
また、自身の作品やSTUTSとの共作でも明らかなように、トラックとbutajiのヴォーカルの相性の良さが際立つ「sofar」には篠田ミルが、「Isolated blues」にはMETがトラック・アレンジャーとして参加しています。アルバムの最後を飾る「remission」はbutaji自身がすべてのトラックを手がけ、さらにシンガー・ソングライター壱タカシのピアノの上で歌われる、唯一の弾き語り曲「さようならをいう前に」が、ほかのバンド演奏の楽曲たちと折り重なることで、アルバム全体の時間の流れを作り出す鍵となっています。
これまでtimeleszや三宅健への楽曲提供も手がけてきたbutajiによる提供曲、三浦透子「点灯」も、本作に自然と寄り添う一曲としてセルフ・カバーされています。ヴォーカル・コーラスには三浦透子本人も参加し、楽曲にやさしい奥行きを添えています。
そして制作の後半で、作品のもうひとつの柱となったのが、「阪神大震災を記録しつづける会」の事務局長を2010年より務める高森順子との出会いでした。震災30年の節目に合わせ、公募で集められインターネット上で公開されている100篇以上の手記の存在を知ったことが、大きなきっかけとなります。butajiも当時神戸に住み、幼少期に被災を経験しています。その後、家族は引っ越しを余儀なくされ、父親との関係が離れていくなど、心と現実の両面で震災の影響を受けてきました。本作には、震災30年という時間のなかで自分自身と向き合い続けてきた、その心の風景が詩情としても色濃く映し出されています。
2024年に兵庫県立美術館で開催された阪神・淡路大震災30年企画展「1995 2025 30年目のわたしたち」で、神戸出身の写真家・米田知子の作品と出会い、深い感銘を受けました。ジャケット写真は、イギリスから帰国中だった米田が、butajiが生まれ育った神戸・ひよどり台の団地で撮影したものを使用し、その写真を畑ユリエがデザインしています。
誰かを想うこと、記憶を手放さずにいること―その静かな営みが、このアルバムの中で音楽として息づいています。
[参加アーティスト]
壱タカシ、内田麒麟、仰木亮彦、岡田拓郎、沖増菜摘、樺山太地 (Taiko Super Kicks)、岸田佳也、香田悠真、坂口光央、篠田ミル (yahyel)、 関口将史、TAIHEI (Suchmos, 賽, N.S.DANCEMBLE)、まきやまはる菜、増村和彦、町田匡、松浦嘉也、三品芽生、三浦透子、MET、山本慶幸 (トリプルファイヤー)、横山和明、吉田篤貴
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発売・販売元 提供資料(2026/02/04)