2004年に発売され、全米1位を獲得しプラチナ・セールスに認定されたビースティ・ボーイズのアルバム『トゥ・ザ・5ボローズ』のデラックス・エディション(2CD・限定盤)。2019年に配信を開始したデジタル・デラックス・エディションに収録されたリミックスやBサイド曲を含む11曲がボーナス・トラックとして収録される。マルチ・パネル・ソフトパック仕様。
メンバーがセルフ・プロデュースし、故郷ニューヨークに捧げた『トゥ・ザ・5ボローズ』は、2004年に発売されると「ビルボード200」「トップ・ラップ・アルバムズ」「トップ・R&B/ヒップホップ・アルバムズ」「トップ・カレント・アルバムズ」「ラップ・アルバム・セールス」「トップ・アルバム・セールス」の各チャートで1位を獲得。ポップ・カルチャーからの引用を巧みに盛り込んだ「シャザム!」や「チ、チェック・イット・アウト」などの楽曲と、深刻な社会的・政治的問題を取り上げた「ライト・ライト・ナウ・ナウ」「イット・テイクス・タイム・トゥ・ビルド」「アン・オープン・レター・トゥ・NYC」などの楽曲が絶妙なバランスで同居していた。ローリング・ストーン誌は「刺激的で驚くほどバランスの取れた作品。テンポがよく、笑えて、それでいて考えさせられるアルバムだ」と評価。ピッチフォークは「このアルバムはくつろいだ雰囲気でありながら、そこには<歴史を重ねてきた今、もはや失うものはない>というこの都市とグループ双方の姿勢がよく表現されている」と称賛した。
■解説付き
■CD1:歌詞・対訳付
■ボーナストラック11曲収録
■マルチ・パネル・ソフトパック
■オリジナル発売日:2004年
発売・販売元 提供資料(2026/03/02)
活動休止期間を経て、スタジオ・アルバムとしては98年の『Hello Nasty』以来となる久々の6枚目。音楽活動的にも、政治社会情勢的にも、居ても立ってもいられない状況があったのだろう。マンハッタン/ブロンクス/ブルックリン/クイーンズ/スタッテンアイランドを指す呼称をタイトルに掲げ、在りし日のロウワー・マンハッタンが描かれた新作は、NYとヒップホップへの愛情満タン。2003年には反戦歌“In A World Gone Mad”がネット配信され、新作にもシリアスなテーマも数曲。しかし、実際次第に楽しみを感じながら制作に打ち込めたようで、ずーっとしかめっ面の重い内容でもない。重いのはサウンドだ。ビートがとにかくヘヴィー。売れっ子エンジニア=ケン・デュロ効果もあってか、ドラム/ベースがドスドス響きまくり。&ラフな処理もツボにハマる。しばらくスルーしていた往年のファンもカムバックしてきそうだ。パーティー型の“Triple Trouble”なんて最高に親しみやすい。とはいえ、“Time To Build”のストレンジな風合いや“Crawlspace”のベースが導く浮遊感、“We Got The”のやんちゃなテクノ気味の展開など雑種的な遊びもイキていて、例えば単に『Paul's Boutique』の頃を思い出すだけのものではない。90年代に身の回りに散らばったさまざまなアイコンを一掃して、シンプルな姿勢で挑んだ新作は聴き応え十二分。やっぱスゲーな、と思った。
bounce (C)栗原 聰
タワーレコード(2004年06月号掲載 (P64))
前々から、全曲ヒップホップとの噂だったビースティ・ボーイズのニュー・アルバム。一言で言ってしまえば、〈オールド・スクール・ヒップホップ・ミーツ・エレクトロ〉といった感じで、やはり全編ヒップホップであった。タイトルからして『To The 5 Boroughs』(〈5ボローズ〉とは、NYの5つの地区のこと)と、地元NYへのオマージュで満ち溢れているこのアルバムは、サウンド的にも3人のルーツであるオリジナルのNYヒップホップに対するオマージュとなっている。オールド・スクール・ブレイクビーツに、ランDMCをはじめとするサンプリング、ミックスマスター・マイクによるスクラッチ、そこに乗るのは、ここぞとばかりにマイクロフォンでロックする3MC。いままでの雑然としたサウンドとは違い、すっきりシンプルなサウンドにMCもクリアに入っているのが新鮮だ。3人が2年間をかけてNYにあるみずからのスタジオでみずからプロデュースしたトラックを、スーパー・エンジニアのケン・デュロがすっきりしたミックスで仕上げている。マントロニクスを彷佛とさせるエレクトロもあるのだが、あくまでも2004年にアップデイトされた音。古典的なヒップホップの魅力に加え、エレクトロ・サウンドのエキサイトメントもたっぷり詰まっている。リリック的には、アルバム全体のテーマであるNYへの限りない愛情、ブッシュ政権への批判など、いまの3人の心情、意識を反映したものとして強いメッセージを放っている。
bounce (C)大野 俊也
タワーレコード(2004年06月号掲載 (P64))