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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2012年10月20日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 慶友社 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784874491423 |
| ページ数 | 304 |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚
序章 研究の目的と研究史
一 問題の所在
1 越境性
2 都市性
3 観客論──受容の基準
二 研究史と課題
1 越境性・象徴的逆転・境界侵犯──文化人類学的研究から
2 民俗学と都市文化
3 相撲・プロレスについて
三 本書の構成と方法
第一章 明治以降の興行女相撲
はじめに
一 興行女相撲のはじまり
1 高玉女相撲
2 石山女相撲
3 第一北州倶楽部女相撲協会──平井女相撲
二 興行内容
三 女相撲の巡業ルートと各地におよぼした影響
まとめと今後の課題
第二章 女相撲の観客論
──明治以降の新聞・雑誌記事からみる観客反応を中心に
はじめに
一 明治期の女相撲評──熱狂の対象から「醜体」へ
二 大正から昭和初期の女相撲評──凋落と変態性
三 『奇譚クラブ』掲載記事にみるマニアのまなざし──野性の美
ま と め
第三章 雨乞女相撲についての一考察
──信仰と娯楽のあわいに在るもの
はじめに
一 雨乞習俗にむすびつけられた女相撲
二 女の霊力という思考バイアス
三 雨乞女相撲の再構成──秋田県北秋田郡比内町扇田を例として
1 雨乞女相撲の行われていた時期
2 雨乞女相撲の内容
3 女相撲がなぜ降雨をよぶか
四 地域社会における雨乞女相撲
1 戦前の地主制と男性の排除
2 オナゴたちの娯楽
まとめと今後の展開
第四章 都市周辺漁村における女性の民俗芸能
はじめに
一 式見の芸能熱の高まり
二 下郷の女性の生活と社会的つながり
1 「ちくわカマボコ」作り1
2 女子消防
三 下郷の女角力を伝承していくということ
1 女角力の由来伝承
2 女角力の具体的内容
まとめ──つながる意識
第五章 各地に伝承される女相撲の諸相
はじめに
一 各地で行われる女相撲
1 北 海 道
2 岩 手 県
3 秋 田 県
4 山 形 県
5 岡 山 県
6 福 岡 県
7 佐 賀 県
8 長 崎 県
9 熊 本 県6
二 女相撲の内容
1 提供される内容
2 目的による分類
三 分布の傾向と若干の考察
第六章 「隠れた」女の大力信仰
──江戸期見世物文化と女相撲
はじめに
一 非日常の力としての女の大力
二 女の大力の見世物・興行女相撲と大力信仰の零落
三 大力に感嘆する
四 女力士と「きゃん」な女
まとめ
第七章 女子プロレス抑圧者としての力道山
はじめに
一 ハイヒールと女子プロレス
二 抑圧される以前の女子プロレスの報道
三 女闘美としての女子プロレス
四 世間の認知と業界内の排除と
まとめ
第八章 「観客論覚書」再考
はじめに
一 善と悪の表象
二 善と悪の抗争の図式に対する観客反応
三 演者側からの仕掛けと受け手の読み替え
まとめ
第九章 観客から演者への投企
はじめに
一 女相撲の観客反応──聞き取り調査から
二 アンドロジェニーへの憧憬──宝塚歌劇団を例に
ま と め──女たちの戦略
終章 本書のまとめと今後の課題
はじめに
一 越境する女の芸能の都市性
二 ブルジョア的主体による嫌悪と魅惑
三 民衆社会的主体による越境性の受容
四 女の大力信仰と近世都<...
" 女相撲と聞いて、浮かぶのはどんなイメージだろう。昭和三十〜四十年代まで、余興としては最近まで、おもに東北・九州地方で行われた女相撲について知れば、大方の読者が抱くであろうマイナスのイメージは払拭されるに違いない。シャツに廻しという姿もさることながら、内容も取組のほか、餅搗きなどの力芸、女相撲甚句踊りなどが披露され、お祭りのように観客を楽しませるものだった。これは職業的な興行女相撲も、各地に伝わる女の草相撲も同様である。女性が相撲を取ることの珍しさ、勇ましさ、迫力は、見る人々を魅了し、そればかりでなく、女性自身に自分も取ってみたいと思わせる魅力も持っていたことが、人々への聞き取りなどから明らかになる。フィールドワークと考察を重ね、女相撲の魅力に近づくことによって、女性が相撲を取ることの意味、それが人々や社会、時代にどのように受容されていったのかをときあかす。なお、女相撲が伝承されてきた東方・三陸地方は、東日本大震災の津波の被害を受けた。しかし、流された写真が本書の中にある。奇しくも本書にだけ残されたのである。 民俗学において女相撲は本格的な研究対象として論じられることがこれまでなかった。昭和初期に比較的まとまった形で報告された女相撲が、雨乞のために行われるものであったことから、従来民俗学では女相撲とはその背景に、女性の呪的霊力への期待があるのではないかと解釈されてきた。本書では東北地方(秋田県大館市、岩手県宮古市、大船渡市、陸前高田市)、九州地方(長崎県長崎市、熊本県八代市ほか)で著者が調査を行った事例をふくめた、30余カ所の事例をもとに、女性の呪的霊力観で解釈しようとしてきた従来の民俗学の通説に疑義を呈する。これは、女相撲にかかわらず、女性の関わる営為についての民俗学研究の視座に大きな転換を迫るものである。さらに、明治初期から昭和30年代まで続いた興行女相撲についても詳述し(山形県天童市、山形市ほか)、地域社会の女性が雨乞、余興、奉納のために行う、民俗芸能としての女相撲への影響の考察を通して、民俗の伝播、定着のあり方を明らかにする。
著者はまた、観客の目を意識し、観客との相互作用のなかで演じられる芸能として女相撲や女子プロレスをとらえ、それらが男性の行う相撲やプロレスという領域への女性からの越境の芸能であると考察する。演者(女力士、女子プロレスラー)と観客との関係は、時代や観客の立場によって異なるものである。「観客」は演者に対応する存在として、ひと括りにできる存在ではない。このことを、著者は関係者への聞き取りや自ら土俵にあがって得た実感、新聞・雑誌等にみられる女相撲・女子プロレス評の詳細な分析を通し、「観客」の内実を4つの主体に分けて論じることで、越境性を有する女相撲や女子プロレスの受容のあり方を明らかにする。「観客」はひと括りにできるものではなく、時代や立場によって観客の受容の内実は異なるものであるとする本書の視点と分析は、今後の観客論研究に新たな視座を与えるものでもある。
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