PHILIP EKSTROMを中心に80年代ニュー・ウェイヴと90年代インディ・ポップの影響を鳴らしながらスウェーデンのドリーム・ポップ・シーンを牽引してきたヨンショーピング出身のバンドTHE MARY ONETTES。THE SMITHSやTHE CURE、ECHO & THE BUNNYMENにも通じるギター・ポップとシンセのレイヤーで、2000年代から『THE MARY ONETTES』、『ISLANDS』、『HIT THE WAVES』、『PORTICO:』と名作を重ねてきたグループです。
前作『PORTICO:』から約10年以上を経て届けられた2025年5THアルバムは、ここ数年に発表されてきた"TEARS TO AN OCEAN"、"HURRICANE HEART"、"EYES OPEN"、"WITHOUT THIS BODY"といったシングルを核に構成されています。長く待たれた新作という位置づけながら、音作りはこれまで以上にリヴァーブとシンセの広がりを押し出し、歌詞はよりイメージ豊かなフレーズが増えたことで、バンドの現在進行形の感性を感じさせる内容です。
シーケンスとシンセ・ベースが緊張感を作る"WDWHL"で幕を開け、リズム・セクションとギターのアルペジオが高揚感を引き上げる"HURRICANE HEART"が続く流れで、THE MARY ONETTESらしい疾走感とメランコリーの同居がすぐに立ち上がります。ストリングス風シンセとビートの抑えた展開で、身体感覚と存在の感触をテーマにした歌詞が響く"WITHOUT THIS BODY"、タイトルどおり深い海を思わせるコード感とギターのフレーズが重なる"TEARS TO AN OCEAN"では、リヴァーブの深いギターと多重コーラスがバンドの強みであるシネマティックなスケールを強く押し出します。
中盤以降は、MAJA MILNERを迎えた"EYES OPEN"でMAKTHAVERSKAN人脈とのつながりも見せつつ、シンセとツイン・ヴォーカルの重なりが、北欧ポスト・パンクの冷たさとエモーショナルなインディ・ロックの熱量を同時に感じさせる展開へ進みます。"SLIDE"ではビートを少し落とし、ギターとシンセのフレーズを丁寧に積み上げることで、PHILIP EKSTROMのソングライティングが持つポップ・センスを改めて浮かび上がらせます。終盤の"SWORN"や"STOP THIS MELODY"まで、全編を通してメロディの美しさとサウンドの厚みが両立したアルバムです。
2000年代からスウェーデン・インディ/ドリーム・ポップの要として歩んできたTHE MARY ONETTESが、現在の歌とサウンドでその立ち位置を改めて示す一枚で、THE RADIO DEPT.やM83周辺の作品が好きなリスナーにも強く勧められる内容です。
発売・販売元 提供資料(2026/01/22)