フランスのミュージシャン/プロデューサーでライヴ・アーティストでもあるCONTRE SOIREEことOLIVIER DECODTS。パリのアンダーグラウンドなクラブ・シーンやレフトフィールドなインダストリアル~ポスト・パンク周辺で活動を続け、エレクトロニクスとギター、ヴォーカルを一人で操るスタイルで評価を高めてきたアーティストです。もともとはデュオとして始動したプロジェクトをソロ名義へと移行し、VEYLからのリリースでそのダークなサウンドを提示してきました。
『精神科』と題されたEPは、OLIVIER DECODTSが自身の精神科病棟への入院中に構想から制作、ミックスまでを完了し、そのままレーベルへ送ったという強い経緯を持つ作品。ポスト・パンクを基調にしながら、ビート/ベース/ギターのレイヤーを自ら演奏し、エレクトロニックな冷たさと生々しいノイズ感を同時に鳴らしています。EP前半の3曲は入院に至るまでの過程と心情の変化をなぞるように配置され、最後の1曲で長年のフェイヴァリットであるPIXIESの"GAUGE AWAY"をカヴァーする構成です。
重くうねるベースと鋭いハイハットがクラブ・トラック寄りの高揚を生む"KING OF THE WORLD"、ダーク・ウェイヴとEBMの質感が混ざったシンセとギター・リフで不安定な心の揺れを刻む"PSYCHIATRY"、ビートをやや抑えヴォーカルのフレーズと残響を前に出した"DON'T WAKE ME UP"など、ノイズとビートのバランスを少しずつ変えながら内省と衝動の行き来をそのままトラックに刻んでいきます。ラストの"GAUGE AWAY"カヴァーでは、PIXIESのオリジナルが持つグランジ的なダイナミクスをよりインダストリアル寄りの音像とポスト・パンク的な硬いビートに置き換え、EP全体の文脈に接続したアレンジで再提示しています。
ポスト・パンクやEBM、ダーク・テクノの境界にあるサウンドを好むリスナーにとって、CONTRE SOIREEのパーソナルな経験とクラブ・ミュージック的な感覚が直接ぶつかり合うこのEPは、VEYLの中でも特に生々しい一作。個人的な谷底の時間をそのままトラックへ変換した、強度の高い4曲です。
発売・販売元 提供資料(2025/12/19)