ギターと歌でアメリカーナとフォークの間を横断してきたデトロイト拠点のシンガー・ソングライターETHAN DANIEL DAVIDSON。2015年作『DRAWNIGH』や2020年作『COME DOWN LONESOME』、2022年作『STRANGER』などで長年のロード生活や宗教的モチーフを歌い続け、2025年5月には同BLUE ARROW RECORDSから『CORDELIA』を発表するなどコンスタントに作品を重ねてきた人物です。
『LEAR』は2025年11月に発表された14作目のスタジオ・アルバムで、同年の『CORDELIA』と同じセッションから生まれた姉妹作。プロデュースはDAVID KATZNELSONとLUTHER DICKINSONが担当し、EMMYLOU HARRISとも共演してきたベーシストBYRON HOUSE、ROBERT PLANTやJOHN CALEのバンドでも叩いてきたドラマーMARCO GIOVINO、ペダル・スティールの名手RAYFIELD RAY RAY HOLLOMANらが参加するバンド編成で録音されています。シェイクスピアのリア王とその娘コーディリアに自らの人生を重ね、家族関係や老い、心理的な傷との向き合い方をテーマにした歌が並び、気候変動や社会の分断を見つめる"THE WORLD WE WANTED"など、外側の世界への視線も織り込まれた内容です。
ざらりとしたアコースティック・ギターとペダル・スティールが揺れる"STOP BREAKING DOWN"では、JOHNNY CASHの"RING OF FIRE"やHANK WILLIAMSの"I'M SO LONESOME I COULD CRY"へのささやかな参照も織り込みつつ、自身の過去の傷心を静かに見つめ直します。かつて『DRAWNIGH』で録音した楽曲を新たにスロウでソウルフルなグルーヴへと生まれ変わらせた"COUNT THE KNIVES"、中年男性と老いの感覚を辛辣に描写しながらも柔らかなバンド・アンサンブルで支える"BAD COMPANY BROUGHT ME HERE"、ALVIN YOUNGBLOOD HARTのギターが切ないフレーズを重ねる"HOW CAN ONE KEEP WARM?"、DUANE BETTSがゲスト参加し60年代カントリーへの敬愛を感じさせる"NOT BREAKING HEARTS"、RAYFIELD RAY RAY HOLLOMANのスティールがゴスペル的高揚を生む"WAITING FOR ME"、気候危機と政治的無力感を冷静に歌う"THE WORLD WE WANTED"と、どの曲もETHAN DANIEL DAVIDSON自身の内面と社会への視線を丁寧な言葉で追っています。
NEIL YOUNG『ON THE BEACH』にも通じる沈んだ手触りと、ブルースやカントリー、ソウルの要素を自然に混ぜ込んだバンド・サウンドが重なり、長いキャリアの中でも静かな手応えを持つアメリカーナ作品に仕上がっています。
発売・販売元 提供資料(2025/12/11)