MICHAEL STIPEを中心に、PETER BUCK、MIKE MILLS、BILL BERRYの4人で1980年にジョージア州アセンズで結成、カレッジ・ロックからオルタナティヴ・ロックへの橋渡し役として80年代~90年代のUSロックを更新してきたご存じR.E.M.。83年『MURMUR』や84年『RECKONING』でインディ・シーンの象徴となり、87年『DOCUMENT』や88年『GREEN』以降はメジャー規模の成功も掴みました。カレッジ・ラジオからスタジアム規模まで一気に拡大していった時期のライヴ2地点を切り取ったアーカイヴ盤が本作です。
フロリダ州オーランドのORLANDO ARENAで行われた1989年公演と、ニュージャージー州の会場で行われた1984年公演からの音源を2枚組にまとめたライヴ・アルバム。オルタナティヴ・ロック・バンドとして世界的な人気を獲得しつつあった『GREEN』期のツアーと、まだインディ寄りのカレッジ・ロック色が強かった『RECKONING』期のステージを一度に体感できる構成で、80年代後半にカルト的存在からメインストリーム現象へと変化していくR.E.M.の過程を生々しく伝えます。ラジオ放送用に収録された音源をもとにしつつ、ギター、ベース、ドラムのタイトなアンサンブルとMICHAEL STIPEの少し憂いを帯びたヴォーカルが前に出るミックスで、観客とのコール&レスポンスや政治的ニュアンスも含めた当時の空気がそのまま閉じ込められています。
タイトなビートとギター・リフで勢いよく始まる"POP SONG 89"や"ORANGE CRUSH"、テンポを落としつつもリフの緊張感で引き込む"FEELING GRAVITYS PULL"、ライヴならではのダイナミクスで鳴らされる"BEGIN THE BEGIN"や"FINEST WORK SONG"、初期R.E.M.を象徴する"PRETTY PERSUASION"や"SO CENTRAL RAIN"、カレッジ・ロック期の代表曲"DRIVER 8"、そしてインディ・ロック史上の重要曲といえる81年デビュー・シングル"RADIO FREE EUROPE"まで、セットリスト全体が80年代R.E.M.の軌跡をコンパクトにまとめた内容となっています。スタジオ・ヴァージョンに比べてギターの歪みやテンポの揺れが強く、オルタナ・バンドとしての生々しい勢いと歌心を同時に味わえるライヴ・アーカイヴと言えます。
80年代半ばから後半にかけてのR.E.M.を一気に追体験できるライヴ盤であり、カレッジ・ロック期からメジャー期へ移行していくバンドの流れを確認するにも最適な2枚組です。スタジオ作とはまた違った粗さと集中力を求めるリスナーに強くおすすめしたい内容です。
発売・販売元 提供資料(2025/12/11)