A Folded Sky＜限定盤/Colored Vinyl＞

ボストンとニューヨークに拠点を分かち、2016年の結成以来US東海岸インディ・シーンで活動してきたギター・バンドSTRANGE PASSAGE。FELTやTHE FEELIES、THE CHURCHを思わせるクリアなギター・サウンドと、ポストパンク/インディ・ポップの中間を行くソングライティングで注目され、SYNCRO SYSTEM RECORDSからEP『SHINE AND SCATTER』とアルバム『SHOULDN'T BE TOO LONG』を発表してきました。ツアーではTONY MOLINA、DUMMY、EN ATTENDANT ANA、CHAIN OF FLOWERSら現行バンドとも共演しつつ、SNSの過剰な更新から距離を置く姿勢も含めて独自の立ち位置を保ってきたグループです。

GREG WITZのギター、RICKY HARTMANのドラム、ANDREW JACKMAUHのベース、RENATO MONTENEGROのギター/ヴォーカルから成る編成で、NEU!のモータリック・ビート、VELVET UNDERGROUNDの乾いたサイケデリア、MCCARTHYやZOUNDSのポリティカルな感覚をそれぞれ消化しながら、自分たちのメロディ・センスへと結び付けた2025年2ND。メンバーはTHE SPATULAS、INVISIBLE RAYS、MISSIONARY WORK、BUMMED、SAP、AUSTERITY、MAGIC CIRCLE、CUT THE SHITなど東海岸の多様なバンドで活動してきた面々で、その経験値が曲ごとのアレンジに自然な幅を与えています。

リヴァーブを抑えたギターと縦に揃ったビートが疾走する"PALACE BEHIND THE SHADE"、オープンコードのアルペジオとタイトなドラムで反復の中に高揚を生む"HOUR AND THE CHIME"、ベース・リフのうねりと切れ味のあるストロークがポストパンク寄りに響く"HUNTER'S FANCY"、NEU!を思わせる一定のドライヴ感の上でメロディが少しずつ変化していく"DAYLIGHT SAVINGS"、MCCARTHY直系のようなコード進行とコーラスが胸に残る"SEVEN GALLOWS ON A HILL"、終盤を締める"GOLDEN RULE"では、ギターの重なりとヴォーカルの抑えた熱量がアルバム全体のテーマを静かにまとめ上げます。

NEU!やVELVET UNDERGROUNDのような反復のグルーヴを、FELTやTHE FEELIES、THE CHURCHから継ぐギター・ポップの文脈へと接続し、現代のボストン/ニューヨークの空気感と政治的な視点をにじませたSTRANGE PASSAGEの第二章。東海岸インディ・ギター・バンドの現在形を追っているリスナーはもちろん、80年代インディ・ポップ～ポストパンク再評価の流れに惹かれる人にも強く薦められる内容です。